0007:1970年ルマン24時間
2台のミニカーはおおもとの実物は同じものです。70年のマニュファクチャラーズチャンピオンシップに出ていたポルシェワークス支援下のGulfレーシングの917-014です。左はシフェール/レッドマン組でシーズン初戦のディトナ24時間で2位に入った車両(Auto Art製、ただし後部中央の小ウィングがあるところを見ると71年デイトナ仕様といった方が正しそう、またどちらの年であってもデイトナではフロントウィンドゥ上に小さなサブウィンドゥが必要)。右は同じクルーでルマン24時間に参戦したときのものをモデル化しています(Brumm製)。
ところが話はそう単純ではありません。この年のルマン24時間レースはちょっと特別で、スティーブ・マックイーン主演の「栄光のルマン」の撮影チームが入っており、マックイーン演ずるドライバーがこの車番「20」をドライブすることになっていたのです。
レースシーンの大半は実際のレースで撮影したもので、Gulfチームのエースドライバーであるシフェールは序盤2位を走り、映画でも「いい絵」になっています。映画の上で優勝するのは写真右の「22」でした。主人公は途中「20」をクラッシュさせたものの、終盤になったところで監督に「22」をサポートするよう「21」のステアリングを任される、というストーリーでした。翌年封切られた映画を見たときは「ルマンでまるでアメリカのストックカーレースのようなぶつけ合いなんかするもんか」といきり立っていたのに、現代の目で見ると(ピットワークも含めて)なんてのどかなレースなのかと驚きます。とは言っても、レースに実際に参加した車両が走行しながら撮影した映像も混ざり(カメラカーであるダークブルーのポルシェ908スパイダーが映画の片隅を通り抜けて行くシーンがあります)、現在でも走行シーンの映像はかなり迫力ものです。
その走行シーンを撮影していたのがこのマシン、ポルシェ908/2「ヒラメ」です。前年度型ですが、撮影フィルムの交換などでロスタイムが多く、最後まで走りきったものの残念ながら周回数不足で完走とは認められませんでした。 エントラントはマックイーンの映画プロダクションでしたが、よく見ると「Gulf」のステッカーが。これは、イタリアのBest Models製です。結構な珍品で、9月にオークションで見つけました。上記917と並べて悦に入っています。(06.09.16追記)
実際の70年ルマン24時間の優勝者はこの「23」ザルツブルグ・チーム(とはいっても第2のポルシェワークス)の917-053:ヘルマン/アトウッド組です(モデルはAuto Art製)。映画に映っていないか何度もDVDのチェックをしているのですが見つかりません。うまく編集で落とされているのでしょうね。
(以下2015.05追記) 最初に書いてから月日が経ち、当時入手できなかった「キモ」となる車両たちも揃いました。このため、ちょっと書き足し。
ポルシェ博物館で展示されている優勝車ザルツブルグ917K。これは本物(後で偽物が出てきます)。後ろに立つカミさんがニコヤカです。
マックイーンがスタート時に搭乗していたガルフカラーの「20」。実際にはシフェール・レッドマン組が搭乗、ザルツブルグ・ポルシェ「25」を追う2位の座をキープしていたものの、リタイアしています。 当時のモデルはちょっとチープでした。後年、Sparkモデルで発売されたものは出来も良く、保存版として置き換えました。フロントのエアインテーク周辺もきちんとオレンジに塗られており、格段の見栄えがします。
現物はポルシェ博物館に所蔵されています。その際の記念写真をこちらに。ヘッドライトカバーの周りの黒いテープが除かれていたり結構お洒落に身繕いされています。展示車の入替はよくあり、行ったからと言って必ずしもお目にかかれるわけではなく、感涙ものでした。しかし、よく見るとこいつは翌71年型の車体。垂直尾翼が2枚テールに突き立っています。しかし、この塗り分けは「19」のはずであり....。この手の現存するレーシングカーによくある「なんちゃって」展示車だとわかりました。不勉強ですね。まあ、「マックイーン車」ということにしておきましょう。
映画内で優勝した「22」。マックイーンが「20」でクラッシュした後「21」に乗り換えて援護しました。実際にはホッブス・ヘイルウッド組のドライブでリタイア。同様にSpark製。
2位に入ったマティーニレーシングの917LHの「3」。その奇抜な塗装から「サイケデリック」と呼ばれていました。ラルース・カウーゼン組が搭乗。Minichamps製。
映画内では「敵役」だったフェラーリ512Sのうちの1台。この「5」はワークスカーでイクス・シェッティが搭乗。これは非常に高価なGasoline製で、フェラーリのグッズを扱うショップのサイトから購入いたしました。なお、イクスは後日ポルシェのエースとして何度もルマンで優勝することになります。
いずれにしても当時は自分が高校時代だった頃であり、レース終了数日後に新聞の小さな記事と月遅れで自動車雑誌を読むしか海外レースの情報を取り込めなかった時代の話です。かねがねルマンにはいつか行ってみたいとカミさんとよく話しています。いつ実現するでしょうか。また、その時に応援できるような車両が出場しているといいのですが。(これはオリジナル)
....実は2013年にルマンの町へ行ってきました。サーキットの周辺へは市電で行ったのですが、スタンドや博物館には入れませんでした(泣)。そのうち、レースそのものを見に行きたい(2015追記)。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント