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2008.01.20

NHKスペシャル「認知症」

 NHKスペシャル「認知症: なぜ見過ごされるのか〜医療体制を問う〜」を観ました。認知症の治療に関する問題点がよく掘り下げられていたのではないかと思います。特に、老健施設入所の場合認知症治療薬「アリセプト」が使用できない件など一般の方々には初めて知らされた事実だったのではないでしょうか。
 認知症の患者さんたちを診察しなければならないわれわれ専門医(院長の場合は「老年精神医学会専門医」)の立場の主張も小阪学会理事長にしていただくことができ、それに対するポジティブなお答えが桝添厚生労働大臣からいただけたことは有意義でした。ただし、この専門医はまだ看板などで標榜することができない資格であること、さらに放送中に表現された「かかりつけ医」「かかりつけサポート医」はあくまで窓口になっていただいているに過ぎないこと、さらに病院の「地域連携室」はいまどきたいていの病院に備わってきているもののそのすべてが認知症に対応しているわけではないことがきちんと表現されていなかったことが問題点と思います。
 とはいえ、認知症に対する一般の方々への啓蒙がより進む一助になった良い番組だったのではないでしょうか。

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コメント

 私も見ました。憤りを覚えることがたくさんありました。
 例えば、患者さんや家族は、診断が遅れたことを非難しました。しかし専門医が診察しても、ごく初期の段階で診断するのはむずかしくても、ある程度進行してから診断するのは簡単です。「後医は名医」。でも一般の方は納得していただけません。
 それを無くしたいなら、アミロイドPETを保険診療でやるべきです。1回100万円くらいかかると思いますが、件数が増えれば価格は下がるでしょう。あるいは、アメリカでアルツハイマー病診断に一般化している、[F-18]PETを保険診療で認めればいいのです。MRIの海馬の萎縮のことばかり言っていましたが、VSRADで海馬の萎縮が全くないアルツハイマー病の方はたくさんいます。その状態でSPECTやPETをやると側頭頭頂葉や後部帯状回の低下が認められます。いずれにせよ、ADNIという全世界的研究が進んでいるので、時期がくれば実現するのでしょうね。でも日本はいつでしょう...
 PETのことばかり書きましたが、医療にはお金がかかります。「医師はお金のことじゃなく仕事の内容で満足せよ」というような意見もありましたが、その結果、日本の医療は崩壊してしまいました。やはり消費税を20%くらいにしないといけないのではないでしょうか。
 それでは失礼いたします。

投稿: Masahiro Mishina | 2008.01.20 午後 11時47分

 お年寄りで発病の方々の診断は何とかなっても若年性アルツハイマーの方々を早々に見つけ、どう救うかがこれからの私たちの使命なのかもしれません。
 PETやSPECTがもっと手軽に使えれば誤診率も下がるでしょうが、いまのところはMRIでVSRAD程度が関の山、ではお寒い限りです。コメントありがとうございます。
 最近、DLBの方がいて、それを機会にADの患者さんたちへも漢方薬(主として抑肝散)の併用も始めています。向精神薬の併用開始までの期間が延長されているように思います。

投稿: 管理人 | 2008.01.21 午前 01時17分

初めまして。地方の内科勤務医のForestと申します。

私も本番組を見ましたが、題名からしても、番組の基本姿勢は医療バッシングに近いものとの印象を受けました。
イアトロジェニックな認知症症例の紹介のところでも、「このように、認知症の大部分は治るのです・・・」といったようなナレーションを入れてましたし・・・。
アリセプトを認知症の特効薬扱いしていたのも気になりました。
全国で100万人を超えるとも言われる認知症の患者さんたちやその家族が、希望を持って医療機関に殺到したり、また、その進行が抑えられなかった場合に「医者のせいだ」と様々なトラブルが全国で起こることが予想されます。
認知症の診断で3点セット(問診、調査票、MRI)をしていなかったのが見落としの原因で、これは医者の怠慢だ!と糾弾されたのではたまったものではありません。普通の一般医の先生は診断しなくなりますよ。そうなると認知症の先生方の負担が激増するわけで、認知症専門医の先生方が消耗していかないかが心配です。

NHKは問題提起も結構ですが、医療の限界をはっきりと示してくれないと現場の混乱につながることを自覚していただきたいです。

投稿: Forest | 2008.01.21 午後 06時42分

Forestさん、コメントありがとうございます。
スタジオにおられた「友の会」の会長さんの発言には小生も反感を抱きました。アルツハイマー型認知症やFTD・DLBなどが進行性でいまだ治せない病気であることを二の次にして、番組を構成されたことはあまり良くなかったと思います。
しかし、認知症と診断された場合には一度はアリセプトは使用してみてよい薬剤であり、反応が悪い場合・振戦や消化管症状の出現する場合には他の治療を考慮しています。決して特効薬ではありませんが、希望をつなぐ薬と認識していますが。
「老々介護」ばかりでなく認知症の患者さんが認知症の配偶者の世話をする「呆々」介護の時代もそのうち訪れるかもしれません。神経内科や精神神経科の医師の中でも認知症の治療に興味をお持ちでない先生が多く、認知症を診られる能力を持っている医師が頑張らなければならない状況をご理解いただければ十分と考えました。

投稿: 管理人 | 2008.01.22 午前 09時02分

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