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2008.09.28

第6回国際脳卒中学会(WSC2008:3)

0809wso_9  国際脳卒中学会に参加してから3日目となり、会期の上ではとうとう4日目の最終日をむかえました。日本でよくお会いしていた先生たちや久しぶりに会えた海外の先生たちとの交流ができるのもこうした国際学会なればこそです。WSO(World Stroke Organization:元をただすと神経内科関係者が多数をしめる)が主体となるこの学会の次回開催は2010年:韓国・ソウルです。人的・ネタ的に構成が似ている国際学会に「Brain」があり(これには神経内科ばかりでなく脳神経外科の先生たちの参加も多い)、これと交互になっているのでどちらかに数年ごとに参加できれば、と思っています。毎回の参加は費用や休診日の設定からも困難です。
 最終日のネタですが、静脈注射によるt-PA投与では閉塞した部分に薬剤が到達するのは分散した血中濃度以上のものではないため、微細な磁性体にt-PAを吸着させ、閉塞部位の 直近に置いた磁石で磁性体を集め、結果的にt-PAを閉塞部位に集中させようと言うアイデイアが発表されました。まだ基礎実験中ですが、うまく行けばトータルのt-PA投与量を減らせるので好都合です。今後の展開に期待しましょう。昨日書いた「Penumbra」システムも壇上で発表されましたが、反響はイマイチでした。術中の映像がなかったのは痛いところで、実はそれを見たくて会場に出向いたのですが、他の聴衆も同様だったらしく、映像がないまま結語のスライドに移った時点で席を立つ人が数多かったようです。
 今回の学会では懐かしいクスリが再登場していました。「シチコリン」です。日本では「ニコリン」という商品名で今から20数年前にはごく当たり前のように脳卒中の症例に投与されていました。その後、同種薬剤の再評価に伴い頭部外傷や脳手術後の意識障害と脳梗塞の際の意識障害・上肢麻痺などに使用範囲が限定され(驚いたことに日本国内ではサプリメントにもなっています)、あまり議論の対症にはならずにいましたが、欧米では新しい大規模臨床試験(ictus)を済ませ、臨床使用されています。
 目新しい治療薬剤はと言えば、「Neuroreptin」という神経保護薬もサテライトセッションで紹介されました。また、漢方製剤である「セイジ」から抽出されたサプリメント「Neuroaid」を脳梗塞急性期が過ぎたところから開始して3ヶ月続けるだけで運動能力障害・知覚障害の回復を早めることができるという展示もありました。その他、日本では未認可ながらアスピリンとジピリダモールの合剤(商品名アグレノックス)も欧米ではポピュラーとなっています(日本で必要とは思われませんが)。
 細かいところから大きな変革まで一通り目を通して参りました。明日からの診療に役立つことは何一つありませんが(これが頭痛関連の学会との大きな違い)、ちょっとだけメタボの患者さんたちへのダイエット指導がきつくなるかもしれません(笑)。

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