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2008.09.29

第6回国際脳卒中学会(WSC2008:4)

 会期も終わったのにさらに古いネタで恐縮ですが、昨年のBrain'07(大阪)では前帝京大学脳神経外科教授の田村晃先生(ラットにおける実験的中大脳動脈閉塞モデルの先駆者)がご自身の教育講演で「脳虚血の世界では実験が臨床の役に立ったことはあまりなかった」とお話しになったのをうかがい、ショックを受けました。自分の研究も田村先生とは異なる方法(アラキドン酸注入→塞栓子挿入へ移行)であっても中大脳動脈閉塞モデルによるものであり、1992年の論文(ラットにおける局所脳虚血モデルでは血流再開を行っても虚血時間が2〜3時間になると再開通をしない状態とほぼ同等の脳梗塞病変を残す:Stroke. 23:552, 1992)で脳虚血発症→血流再開に限界時間があることを証明したことによって現在の血栓溶解療法が「発症3時間以内」というくくりで安全かつ確実な治療法として確立した、と信じてきただけにエキスパートの方からのそうした評価は自分の存在価値に関わるような気がしました。
 さて、今回のStroke'08(=WSC2008, 今回の学会では各所でこの表記が使われていました:日本脳卒中学会総会も同様の表記を使うため本ブログではここだけに止めます)でも「これまでの脳虚血実験システムでは治療薬剤の評価が難しい」とする意見が支配的でした。確かに、脳虚血モデルで有効性を指摘したカルシウム拮抗剤・NMDA阻害薬・AMPAレセプタ阻害剤などは結局脳虚血治療薬としての役割を果たすことができませんでした。同様に実験でいろいろ検討されたフリーラジカル消去剤だけは日本で認可され、立派な成績を残していますが海外での評価はさほどでもありません。動物実験が臨床応用に役立たない主たる要因は「nの少なさ:精密な実験系ではモデル作成に手間を要しどうしても実験対象となる個体数が少なく、膨大な数を処理することによってマイナーな変化を押さえ込むことができない」「術者が研究者そのもののため無作為抽出法のような客観的評価ができない」「小動物では人間に使用する薬用量そのもののシミュレーションにならない:ラットの場合などは人間の使用量の10〜20倍ほど使用するのが普通、つまり人間に使用する場合に安全性が加味されると全く生物学的反応が起こらない可能性もある」などと指摘されました。無作為抽出法による大規模臨床試験は新しい薬剤が世に出るためにはどうしても避けて通れない道筋です。しかし、医者たる我々が「もしかしたら1/2の確率で全然効かないクスリ(対象薬がプラセボ:偽薬になる場合が多い、もし対象薬がこれまで効果が確立されている薬になっているならこの危険性はなくなるが逆に新薬の効果が認められないケースがある)」を実際に生死の境におられる患者さんに投与することは人道的に許されることではありません。個人情報保護などの観点も絡み、これからさらに進歩しなければならないはずの医療の過程はますます困難になっていくような気がします。アジア諸国数カ国にまたがって行われたさる大規模試験でも日本が(意図的かどうかはともかく)外されていた発表があり、さもありなんと感じました。
 実験的脳卒中への指摘されたような見解はあるものの、いずれ近いうちに脳卒中治療と実験的脳卒中の関わりについての私見はまとめてみるつもりです。今回は長文になってしまい、ご迷惑をおかけいたしました。ここまで読んでくださった方に多謝。

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2008.09.28

第6回国際脳卒中学会(WSC2008:3)

0809wso_9  国際脳卒中学会に参加してから3日目となり、会期の上ではとうとう4日目の最終日をむかえました。日本でよくお会いしていた先生たちや久しぶりに会えた海外の先生たちとの交流ができるのもこうした国際学会なればこそです。WSO(World Stroke Organization:元をただすと神経内科関係者が多数をしめる)が主体となるこの学会の次回開催は2010年:韓国・ソウルです。人的・ネタ的に構成が似ている国際学会に「Brain」があり(これには神経内科ばかりでなく脳神経外科の先生たちの参加も多い)、これと交互になっているのでどちらかに数年ごとに参加できれば、と思っています。毎回の参加は費用や休診日の設定からも困難です。
 最終日のネタですが、静脈注射によるt-PA投与では閉塞した部分に薬剤が到達するのは分散した血中濃度以上のものではないため、微細な磁性体にt-PAを吸着させ、閉塞部位の 直近に置いた磁石で磁性体を集め、結果的にt-PAを閉塞部位に集中させようと言うアイデイアが発表されました。まだ基礎実験中ですが、うまく行けばトータルのt-PA投与量を減らせるので好都合です。今後の展開に期待しましょう。昨日書いた「Penumbra」システムも壇上で発表されましたが、反響はイマイチでした。術中の映像がなかったのは痛いところで、実はそれを見たくて会場に出向いたのですが、他の聴衆も同様だったらしく、映像がないまま結語のスライドに移った時点で席を立つ人が数多かったようです。
 今回の学会では懐かしいクスリが再登場していました。「シチコリン」です。日本では「ニコリン」という商品名で今から20数年前にはごく当たり前のように脳卒中の症例に投与されていました。その後、同種薬剤の再評価に伴い頭部外傷や脳手術後の意識障害と脳梗塞の際の意識障害・上肢麻痺などに使用範囲が限定され(驚いたことに日本国内ではサプリメントにもなっています)、あまり議論の対症にはならずにいましたが、欧米では新しい大規模臨床試験(ictus)を済ませ、臨床使用されています。
 目新しい治療薬剤はと言えば、「Neuroreptin」という神経保護薬もサテライトセッションで紹介されました。また、漢方製剤である「セイジ」から抽出されたサプリメント「Neuroaid」を脳梗塞急性期が過ぎたところから開始して3ヶ月続けるだけで運動能力障害・知覚障害の回復を早めることができるという展示もありました。その他、日本では未認可ながらアスピリンとジピリダモールの合剤(商品名アグレノックス)も欧米ではポピュラーとなっています(日本で必要とは思われませんが)。
 細かいところから大きな変革まで一通り目を通して参りました。明日からの診療に役立つことは何一つありませんが(これが頭痛関連の学会との大きな違い)、ちょっとだけメタボの患者さんたちへのダイエット指導がきつくなるかもしれません(笑)。

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2008.09.27

第6回国際脳卒中学会(WSC2008:2)

0809wso_6 本日は朝一番のセッションが「meet the Expert」です。企画の段階では4人の大教授がひとり一部屋を与えられ、それぞれ1時間の持ち時間で聴衆相手に講義とデイスカッションをする、という内容でプログラムもそのように印刷されておりました。しかし、「朝から一人一部屋では会場がガラガラだろうし、とても一人で1時間は持たない」という打ち合わせがあり、急遽4人一緒に一部屋でという企画に変更されたそうです。自分が会場に入るとなんと聴衆3人目。4人の大教授が壇上で待ち構えておられました。;お互い聴衆が3人はいないと始められないね」と話しておられたそうです。左からCaplan教授(米)、Hennerici教授(独)、山口国立循環器病センター名誉総長(日)、Norris教授(英)です。それぞれ個性あふれたご講演で、いつの間にか会場も満員となりました。
0809wso_4 静脈注射での血栓溶解による脳梗塞急性期治療が一般化しても物理的に血栓を取り除く手技が重要であることは論をまちません。この画像は「Merci」という手技で、ガイドワイヤーの先端少し手元をコイル状にして数本のナイロン繊維の「ヒゲ」をつけ、中大脳動脈の遠い部分(M2以降)であっても血栓を破壊することなくカテーテル内に取り込んで戻ってこられるというものです。他のメーカーからは、カテーテル先端から持続吸引を行いつつ先端に円錐型の「かえり」を付けたガイドワイヤーで血栓を壊しながら吸い取ってしまう「Penumbra」というシステム(命名が何ともあまりに直接的でどうも...自分だったら「Penumbra Saver」にしてしまうかな)も展示されていました。こうした道具は見せてもらうだけでわくわくします(血と汗が騒ぐ?)。どちらも認可の関係でまだ日本では使えません。あしからず。
0809wso_7 午後はちょっと時間を見つけてベートーベンが遺書を書いた場所として有名なハイリゲンシュタットまで足を伸ばし、昼食をとってきました。ベートーベンの住んでいた家の側にはワイン工場があり、摘まれたばかりの葡萄が運び込まれるところでした。まだ葡萄酒作りが始まったばかりなのに、レストランで「ホイリゲありません?」なんて頼んでしまい、「今年のワインはまだです」と言われてしまいましした。ハズカシい...。そう言えば、街中では気づかなかったのですがこちらのあたりでは樹々が色づき始めおり、秋を感じました。というより、昨日はしっかり雨に降られて結構寒くなっております。

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2008.09.26

第6回国際脳卒中学会(WSC2008:1)

0809wso1_2 ウイーンに到着しました。一晩学会会場のすぐそばのホテルで過ごし、朝は時差で早起きしていたため、7時30分から最初のセッションから参加しました。興味ある演題を追いかけて会場を歩いていると、いろいろおなじみの方々とお会いできました。ルンドのタデウス教授もその一人で、会場内でかかってきた電話をとろうとして出口へ向かったところバッタリ。ブダペストからウイーンへ、そしてまた次もあり、喉をやられたとかでガラガラ声になっておられました。
 今回は製薬会社のブースのうち、大塚製薬が頑張っています。抗血小板剤プレタールの大々的なプロモーションで、サテライトシンポジウムを昼と夜の2回開催し、その他会場内でのサポートルームの開設(カップヌードルやみそ汁の提供)などスタッフの方々も大忙しでした。
0809wso2_2 「NR2ペプタイド」を検出すると脳虚血が起こっていたかが明瞭にわかる、という発表をされたのが米国アトランタのDambinova先生です。残念ながら一般診療所で迅速に検査ができる状態ではなく、検査設備の整った病院で処理を速やかに行って4時間ほどかかるとのことでした。確かにMRIは撮影し異常はなかったものの本当にTIA(一過性脳虚血発作)なのではないかと迷ってしまう症例もあり、実用化されれば有効なものかもしれませんが、できれば診療室内で簡単に使用できる迅速検査キットになれば一般内科医や開業医レベルで爆発的に利用されると思うのですが。すでに心筋障害を検出するキットがあり、割りと抵抗なく受け入れられるような気がします。
0809wso_5 午後のセッションでは学会の重鎮であるHacke教授からRt-PA(アルテプラーゼ)による脳梗塞急性期の血栓溶解療法が現在のリミットである「発症後3時間まで」から延長できないかという研究(3時間〜4.5時間まで、ECAS3)の発表がありました。結果はご自身「Negativeである」とおっしゃっておられました(効果はあるが出血性合併症が増す)が、果敢な研究に対し満場の拍手が送られました。
0809wso3_2 17時30分からのサテライトシンポジウムが始まる前にアトリウムで開かれた立食です。小エビのオープンサンド・肉団子(スウエーデンと同様「シェックブラ」と発音)・一口ヴイーネルシュニッツエル(ウイーン風トンカツ)などが出され、盛況でした。ちゃんとデザート兼炭水化物供給源的なスイーツも出され、ここで夕食を済ませたことにことにするため、ちょっと時間が早いもののがっちり食べて参りました(結構ケチしてます)。会場の近所にコンビニや飲料の自販機がないのがえらく不便です。いま、現地時間で9時30分ですが、そろそろ床に就くことにします。

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2008.09.24

10月1日まで休診いたします

 世界脳卒中学会(WSC2008)参加のため、本日より8日間、臨時休診いたします。もし現地からご報告できるようなことがあればこちらのブログにアップしたいと思っております。ご期待ください。

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2008.09.21

医療現場用クロックス登場

0809clocks 「エレベータではさまれる」事故などの報道イメージもあるクロックスサンダルですが、院長は昨年5月からずっと愛用中です。指先が解放されてちゃんと小指の先まで接地感があり生活のほとんどの場面で(学会会場も含めて)履きまくっています。診察室でも中国製レプリカの白(上写真右)を使っていました。何週か前、北総病院の売店でクロックスを売り始めているのを発見。どうもスタンダードの「Cayman」ではなさそうで、調べると医療現場用に水滴や薬品からつま先を守るようデザインされた「Specialist」であることがわかりました。どおりでサイズが1cmきざみでいつもの「甲の穴」がありません。これは「水滴や薬品」対策と言うよりは「血しぶきと針先」からの防御用ですね。さっそく4,980円也(他のモデルより高い)を払って購入してきました(同左)。
 クロックス販売店を見るとつい何か買ってしまうのが弱点です。下写真は昨年ハワイの海岸で購入したカミさんと色違いでお揃いの「ライフセイバー」限定ストラップつきのモデルです。すでに自分で使っていた黒い方は履きつぶしてしまい、ストラップのみ後から購入したモデルに移し替えて使用中です。ちなみに、ストラップの取り替えはストラップをのばすようにしてもぎ取って新しいのをはめ込むだけでした。でも、どちらかというと「診療用の白Specialist」に移した方がそれらしくてより良かったかも。

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2008.09.17

「片頭痛」は「心身症によって起こる頭痛」ではありません!

 現在放送中の日本テレビ「ニュースゼロ」でとりあげられている「心身症」について一言。
 番組内での表現は「片頭痛は心身症のひとつ」とされていましたが、「心身症によって起こる頭痛」という疾患はありますが、「片頭痛」が心身症によって起こると言うことはありません。国際頭痛分類でもはっきりと分離されている別の疾患概念です。数多くの片頭痛の患者さんやこの周囲の人たちに大きな誤解を招くことになりますのでハッキリとさせておかねばなりません。どうかいわゆる「頭痛」すべてが片頭痛というわけではないことをご理解いただきたいと思います。
 頭痛の国際分類は頭痛学会ホームページからダウンロード可能です。このうち、心身症などの精神神経疾患で生じる頭痛については138ページに記載があります。片頭痛については44ページから詳細に記載されており、両者は厳密に別物です。
 テレビは非常に影響力が強く、誤解がさらなる誤解を招くことにもなり、きちんとした監修が必要です。なお、同文を日本テレビに先ほど送信いたしました。

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2008.09.14

iPhone2.1へのアップデート

0809iphone21 小暮先生の式に参加した際、都医師会のMacintoshベテランユーザであるO先生とお話しする機会を得ました。自分がMacユーザであること、またiPhoneがなかなか言うことを聞かない旨お話しすると自信たっぷりに「今度のアップデートで解消しますよ」と笑っておられました。
 自分はどちらかというともともとペシミストで、結構いろいろものを悲観的に考えがちです。先生のHPを拝見するとAppleに対して慈愛にあふれた接し方をなさっておられるようで、できれば自分もそうありたいと考えました(^_^;)。
 さて、今回のメジャーアップデート、どんなもんでしょう。速報レポートはこちらこちらに。まだ少しか使っておりませんがメール入力に関しては結構良さそうです。できればこのバージョンで市販開始になるとよかったのに!Leopard(10.5)の時も同じことを書いたのを思い出します。

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2008.09.13

小暮堅三先生旭日雙光章授章祝賀会

0809kogure 江戸川区医師会元会長の小暮堅三先生が旭日雙光章(きょくじつそうこうしょう)を授章され、その祝賀会が江戸川区船堀のタウンホールで行われました。
 小暮先生にはお世話になっており、参加してお祝いして参りました。また、普段なかなかお目にかかれない方々にもお会いすることができました。小暮先生、おめでとうございます。

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2008.09.11

無線LANスポットにつなぐ

 iPhoneは無線LANを探したがる端末です。ちょっとしたビルにはいるとそこここのLAN電波を見つけては接続しようとするのですがどれも皆パスワード等でセキュリティがかかっており「接続を解除された」というアラート画面がむなしく出ているのを発見します。どのみちSoftBank 3Gの圏内であれば無理に無線LANにつなぐ必要もないのですが、iPhone自体はPCをネットにつなぐためのモデムとしては使えないので、一緒に持ち歩くMacBookのために公衆無線LANに契約しておりました。
 昨日は都医師会の委員会があり、そののち研究会まで3時間の空き時間があったため、まだ公衆無線LANの設定が済んでいなかったためMacBook Airも持ち出し、iPhoneとともに公衆無線LANへの「筆おろし」をすることに決め、いざ、秋葉原へと向かいました。アキバならどこでも公衆無線LANの電波を拾えるだろうと思っていたら大間違い。検索で「OK」となっている喫茶店かヨドバシ店内の限られたフロアでしか電波を見つけられませんでした。
 さて、iPhone。電波をとらえる設定は出来てもネットに開通させるのが大変。Safariブラウザが落ちてしまい認証画面が出ません。これは「いきなりSafariを開く」のではなく「YahooなどのHPをブックマークから開く」事で解消。また、きちんとログアウトしないとダメで、これは「http://logout」の入力が必要。これもブックマークにしてしまいました。秋葉原から浅草までのつくばエクスプレスの車内で走行中でもiPhoneのLANがつながっていたのには感動しました。同じサービスが印旛まで行く北総線にもあればいいのに!北総線沿線はずっとSoftBank 3Gの圏外なのです。
 そして、MacBook。こちらはスムーズに設定完了。とはいえ、果たして今後どれほど使うかは疑問です。学会に出かけても、会場ではフリーのLANを提供してくれる主催者が増えており、またホテルでは室内の有線LANがあります。海外のホテルではLANは全くないか、無線LAN(フロントでパスワードを購入する)。確かパリではHotSpotの電波が見えていました。
 でも、どちらかというとBluetoothモデムとして使えるケータイ電話の方が便利かな、と思っています。となるとパナソニックかシャープの端末。iPhoneはメール入力の遅さや電池容量の少なさから今後メインにし続けていいかどうか迷っている最中です。海外で3Gに繋ぎまくられたらはたしていかなる額の請求が来ることか?とか。Macユーザーなので結構Apple製品には寛容なのですが、我慢も限度がある...なんて。でも、かつて購入したWindowsモバイルのX01Tなどは約1週間設定を進めながら持ち歩いていたのですがスグに強制引退させた過去があります(SIMカードを古い機体に戻した)。iPhoneともう一台のケータイを常時持ち歩くなんて絶対イヤだし。やせ我慢をもう少し続けましょうか。ソフトのアップデートで進化してくれるのを待ちましょう。

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第3回城東循環器の会

 9月10日、浅草ビューホテルにてアステラス製薬と日本べーリンガーの共催により、表記研究会が開催されました。講師は東京逓信病院内科部長の宮崎滋先生で、「特定検診を踏まえたメタボリックシンドロームについて」という演題でした。
 宮崎先生は特定検診の基盤となるメタボリックシンドロームの診断基準設定に携わったお一人で、特定検診で「指導」に当てはまった患者さんたちをどのように指導すればよいかを懇切丁寧なご講演でお教えくださいました。まず、現在の体重の5%を削減するプログラムを策定し、運動と食事でともに同じカロリーを調整する、さらに夜食と間食をなくさせる、など教科書では書いてあるものの実際に患者さんに適用させる上でのコツを授かりました。
 講演後の質疑応答も白熱し、良い勉強が出来ました。

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2008.09.10

城東Warfarin学術講演会

 9日にイースト21東京(江東区)にて、エーザイ(株)主催の表記講演会が開催されました。江戸川病院・循環器科部長の大平先生が座長となり、日本大学医学部心臓血管外科秦光賢講師「ワーファリンとPPIの相互作用による開心術後出血性合併症」と東邦大学医療センター大橋病院循環器内科杉薫教授「心原性脳梗塞の予防:新ガイドラインを含めて」の2題のご講演がありました。
 PPI(プロトンポンプ阻害剤)にはオメプラゾン(オメプラール)、ランソプラゾール(タケプロン)、ラベプラゾール(パリエット)の3種が市販されていますが、もともとワーファリンとの相互作用が告知されているオメプラールばかりでなく、タケプロンも代謝酵素CYP2C19を共有し同様の相互作用を示す例があり、ワーファリンが効き過ぎて出血傾向増強作用を示す危険性がある(消化管出血・術後出血)事が秦講師から示されました。それに対し、パリエットは非酵素的な代謝が主体でありワーファリンとの併用でも出血性合併症を生じにくいとのことでした。むろん、タケプロンとワーファリンの併用でも問題ない症例もあり、ワーファリンのコントロールがうまくいかない症例などにはタケプロンを併用することによって効果を強化する(裏技的な)目的にも使えるとのことでした。
 杉教授のお話は心房細動を有する症例の脳梗塞予防の目的としてはもはや抗血小板剤は適応とならず、ワルファリンを適切に使用することが必須であることが詳しく説明され、本年11月に公表予定の国際的なガイドラインについての解説がありました。
 出席者の数に対して講演会後に開かれた懇親会席上でのお料理の量(種類ではありません)が少なかったことを除けば大変有益な講演会でした。

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2008.09.07

スカイ・クロラ見てきました

 久しぶりに映画館まで行ってきました。それも、新宿!8月2日に封切りで、「そろそろ行かないと終わっちゃうな」と思っていた矢先、当家御奥様(カミさん)より「半日自由可」とのお達し。さあ、どこで見ようかと検索したところすでに大半の映画館では上映が終わってしまっており、封切館で上映しているところは約10分の1。見に行ける時間に折り合えるところで新宿(ミラノ3)になったわけです。
 やはり、こうした映画はDVDで見るより映画館の大画面に限ります。飛行機の計器が普段カミさんの操縦するセスナの計器とほとんど同じ動きをすること(無論宙返りではそれなりに派手に)にちょっとニヤリ、背景やメカが陰影細やかに描かれているのに人物が平板に描かれていることから「人物だけでも実写をはめ込んでもいいんじゃないかか」と思ったりして見始めました。しかし、のめり込んでいるとやはり非現実なシチュエーションを表現するにはこの形式がベストと思え、押井ワールドに浸ってしまいました。
 プログラムに「あの機首は男性のシンボル」と書かれていた、敵方の「スカイリィJ2」は大きめの排気タービン(ターボ・スーパーチャージャー)が着いているのですが、それとは相反するはずの推力型単排気管が片バンクごと10個ずつ(ということは正立型V20?)左右に並んでいるのが「?」なのです。そのあたりのメカニズム解説を誰か教えてください。まあ、そんなことを悩みながら見たのはお前だけだ、と言われてしまえばそれまでなのですが。

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2008.09.03

国際学会のため臨時休診があります

0809wso 第6回国際脳卒中会議(ウィーン)出席のため9月25日(木)〜10日1日(水)まで臨時休診させていただきます。長めの休診となりご来院の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、どうぞご了承ください。しっかりと最新知識を吸収してパワーアップして参ります。
 なお、江戸川区の65〜74歳の方々を対象とした「国保健診」13日まで延長実施しております。また、75歳以上の方々を対象とした「長寿健診」も実施しております。 こちらの締め切りは10月末日となります。
 若者を中心に去年、はしかが流行したことを受け、この春から中学生と高校生を対象に新たな予防接種(はしか・風疹混合のMRワクチン)が始まりましたが、6月末までに接種した人の割合は3分の1程度にとどまっていることが厚生労働省から発表されました。接種の対象となる学年は中学1年生と高校3年生です。ご自宅に接種票がまだ残っている未接種の方々はぜひワクチン接種を受けましょう。

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