第52回日本神経学会学術大会
現在、名古屋国際会議場で標記学会が開催されています。昨年の第51回までは「神経学会総会」という名称だったのですが、今回から「学術大会」となりました。ちょっと威厳が格落ちしたみたいで残念でなりません。とはいっても、神経全般にわたる広範領域に関する発表や展示が目白押しです。
「末梢性めまいは脳卒中予測因子となり得るか?」という国立循環器病センターからの発表にはちょっとコメントを出しておきました。検討されたのは「めまいを生じて入院となった患者さんたちだけ」が対象であり、さらに末梢性めまいと診断した根拠が「MRIなどの検査で脳血管性病変などが否定された」だけであったため、本来的な「外来診療で十分な末梢性めまい」がまったく考慮されていなかったのです。こうした権威ある施設からの発表は将来かなり引用されて余計な評価(というよりTV解説のネタ)の元となる可能性もあり、タイトルから十分に考慮してつける必要があります。結論的にはこの「データだけで予測因子と言ってはいけない」と考えます。
Fukuoka Stroke Resistry (FSR)のデータを基にしたいくつかの発表がありましたが、非弁膜症性心房細動(NVAF)をもち、脳塞栓症を発症して入院された患者さんのうち、しっかりと抗凝固剤ワルファリン(ワーファリン)を投与されていたのはなんと28%に過ぎず、さらにコントロール指標であるPT-INRが高齢者目標値の1.6に達していたのはそのうち21%であった、という発表はかなり衝撃がありました。確かにワルファリンの投与調節は煩雑ですが、投与するからにはそれなりの面倒(と医療機関自体の金銭的・時間的損失)も承知の上で望まなければなりません。そうした観点からは前項で述べたダビガトラン(プラザキサ)への移行も患者さんと相談しながら進めてゆく必要がありそうです。
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