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2011.05.28

「SPAF meeting in城東」で講演します

1106spaf 6月27日に開催される表記講演会で「当院における抗凝固療法の現状」と題して講演します。新規抗凝固剤「プラザキサ」のプロモーションでもあります。まだ処方日数が14日に制限されているため症例数は少ないものの、「死ぬまで食えないかと思っていた納豆が食べられた!」と喜ぶ患者さんもおられます。
 城東ARBサミットでお目にかかった江戸川病院の伊藤裕之先生から「被災地に派遣したスタッフから、あちらではPT-INRもスグにはできないため、ワーファリンからプラザキサへ移行している例が多いとのことです」と伺いました。ウチへ帰ってネットで検索してみると、被災地で活躍しているドクターのブログでも同様の記載を数多く見つけました。確かに薬剤自体が2週間の投薬制限があっても、被災地ではもともと14日分程度の投薬が限度でしょうし、最善の選択だと思いました。

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2011.05.27

第53回日本小児神経学会総会

 5月26〜28日、パシフィコ横浜で開催されている標記学会に出席してきました。この学会には今回が初参加です。最近慢性頭痛で受診される小児患者さんが増えてきたこと、また頭痛学会や神経学会にエントリーされない頭痛の演題があることが主たる理由ですが、昨年共同執筆者としてこの学会の会誌に短報を掲載していただいたことによりこの学会を知った理由です。
 さて、本日(個人的に)注目の演題は「周期性嘔吐症にスマトリプタン注で効果」という演題と「難治性小児慢性頭痛にノイロトロピン」という演題です。前者はポスターに学会若手表彰のリボンが飾られていました。周期性嘔吐症は専門の先生方もかなり手を焼く疾患であり、片頭痛との関連も指摘されています。従って、使用するタイミングと症例を選べばこうした治療も効果を著すのでしょう。後者は先ほど引用した論文の主執筆者である斎藤義朗先生の発表です。ノイロトロピンは、当院におかかりの頭痛患者さんでしたら先刻ご存知の小生が緊張型頭痛・片頭痛を問わず一度は投与する(?)薬剤で、疼痛に対し下行系抑制作用をしめす、ちょっと不思議な薬剤でもあります。大人の患者さんでも「効く人は聞く、効かない人には一切効かない」という面(頭痛の薬は頓挫薬・予防薬いずれでも動揺の傾向がありますが)があります。先生の呈示した症例はいずれも片頭痛ベースであり、何種かの予防薬が効かず、本剤を投与したら数日で寛解した、というものでした。当院でも小児の患者さんに投与したことがあり、結構いい印象がありました。先生にお目にかかってお話を伺いましたが、国立精神神経医療研究センターという病院ではなかなか直接頭痛疾患の患者さんが受診してこられないことが悩みです、とのことでした。

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2011.05.26

城東ARBサミット

 第一ホテル両国にて、日本べーリンガーインゲルハイムの主催により標記講演会が開催されました。演題の講師は慈恵医大青戸病院循環器内科の関晋吾准教授と同第三病院森豊准教授でした。
 森先生の「インスリン抵抗性をいかに上流で食い止めるか」から、いくつかのキーフレーズを列挙します。いつもながらのマシンガンプレゼンテーションでしたが大変ためになりました。
1)体重増加によりメタボリックシンドローム(MetS)の危険因子が増えてくるが、先行する要素は高血圧→高脂血症→糖尿病の順となっている、ということは空腹時血糖110を超えていると言う例はすでにMetSになっていると考えた方が良い
2)自分の外来でインスリン過剰分泌の抑制のために勧めているのは「食物繊維の摂取」「食後1〜2時間のうちのウォーキング」である。
3)運動により血糖が下がるだけでなくインスリン過剰分泌も抑制される。
4)禁ずべき典型的悪生活習慣は、「朝食抜き・昼そば・夜ドカ食い・即寝る」であり、夜間の血糖が高くなりインスリンが出続ける原因となる。特に、夕食は早めにとり果物は午前中だけとし、脂肪分(天ぷら・フライ・唐揚げ)を採らないこと。
5)インスリン抵抗性をあげないようにする対策はできるだけ早めにうつのが望ましいが、進行した糖尿病であっても是非実行すべきである。

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2011.05.24

レミニール新発売記念講演会

 今期、3種の認知症治療薬が新発売されます。ガランタミン(商品名レミニール)は、その中で最初に市販に至った薬剤です。これまで唯一の治療薬だったドネペジル(アリセプト)と同種のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有し、諸外国での使用でも有用性が確認されていたにもかかわらずなかなか認可が下りず、桝添厚生労働大臣時代に陳情が各種団体からなされ、認可への動きとなった、と聞き及んでいます。さて、今回の演者は繁田雅弘先生と岩田誠先生という認知症・神経内科の重鎮が揃いました。
 まず、繁田先生のご講演は「アルツハイマー病:実践から学んだ診療のヒント」。いくつかの重要なフレーズを挙げてみます。1)認知テストが終わったら(大抵被験者はガッカリしてしまうので)患者さんの元気だった頃の自慢話をさせて気分をかえてあげること、2)ある調査ではDVを受けている認知症患者の報告者にほとんど医師がいない(医師から報告が上がらない)、3)介護者が介護サービスを受けることを躊躇する例は治療がうまくいかない、4)治療を行っている時漫然と「良くなったか」と聞かず、具体的なポイントをいくつか例示して尋ねておくとその次の受診時に介護者が気づいて報告してくれることが多い、....などなど。
 また、岩田先生のご講演はでは、1)「認知症」という呼び名は本来適切でない、台湾で「失智症」と呼ばれている方がよりシックリ来るが自分で国内講演を医師向けに行う時は「デメンチア」と呼ばせてもらっている、2)デメンチアの原因の中には投薬に依るものも多くSSRIによる低ナトリウム血症もそのひとつである、3)忘れたことを覚えている患者はデメンチアである可能性は低く本当のデメンチアは家族が気づいていても本人は「そんなことはない」と主張するのが常である、4)周辺症状と医師がいうものはほんとうに害がある症状なのか:「些細なことで怒り出す」という家族には、「そのことは本当に本人にとって些細なことなのか」、大声でどなるデメンチア患者はひょっとすると難聴があるためではないのか、デメンチア患者が同じことを何度も聞き返すのは「聞いただけでは後で確認が取れないから」であり、きちんと文字に書いて渡すなどの努力を怠っているのではないか、デメンチア患者の「暴力」は介護者側の抑制に対抗する手段なのではないか、不潔行為も「どうしてそのようなことをしたのか」を患者さん側に立ってポジティブに考えてあげる必要がある、5)DLBやPDDでドネペジルを用いてもパーキンソン症状を出した経験はないが、体幹ジストニア(Pisa症候群)は出現することがある、6)先般の大震災においてデメンチアの重い人は平然としており、軽い人ほど動揺し恐怖を感じていた、7)デメンチア患者を診る時には「以前はどういう生活をしていたのか」をきちんと調べておく必要がある.....などでした。
 お二人の言葉からは、患者さんとご家族に対する深い愛情と暖かい思いやりがひしひしと感じられ、非常に有意義なひとときでした。

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2011.05.22

夏の臨時休診についてのお知らせ

1)7月16日・19日を臨時休診いたします。海の日があるため、17日から20日まで連休となります。振替で第2土曜日の7月9日は通常通りの診療を行います。
2)8月18〜20日を臨時休診いたします。振替で第2土曜日の8月13日は通常通りの診療を行います。
3)9月24日を臨時休診いたします。
 前エントリーを含め、お休みが多くなってしまい申し訳ありません。どうかご了承ください。

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国際頭痛学会に出席してきます

 ベルリンで開催される第15回国際頭痛学会に出席するため、6月20日より25日まで臨時休診させていただきます。東日本大震災があり、原発事故も終息していないため先週まで行くか行かぬかにつき逡巡していたのですが、踏み切ることにいたしました。なお、期日が近いこちらへの出席は諦めました。どうかご了承ください。

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サンデー・メカニック

1104zafiratrouble_2 4月3日のエントリーで話題にしたレア車両のオペル・ザフィーラは高速道路巡航中に電気系統の不具合を示すチャージランプが点灯し、パワーステアリングもアシストがなくなってしまいました。何とか出先のスバル店(ザフィーラと兄弟車のトレヴィックがあります)まで転がり込んだのですが「オルタネータでしょう」と結論は出たものの結局は修理ができず、レッカー車でいつもお世話になっているヤナセ足立支店まで運んでもらい、中古部品を探してもらって(実は買い換えが目前なのです)修理してもらいました。後継車が到着するまであとしばらく頑張ってもらわなければなりません。
1105cyclebascket
 さて、近距離のお出かけにはもっぱら自転車を使っていますが、荷物を載せる前かごがイマイチで、交換を目論んでいました。ただし、ママチャリではなく前後にサスペンションがついた車種のため、バスケット選定が大問題で、これまではハンドルバーに引っかけて下面につけた紐でフレームに引っ張るという「荷物を載せたらたわんで固定されなくなってしまう」代物でした。ネットで見つけたこのバスケットに目をつけていたのですが、いくらネットで調べても荷重負荷に関する記述がありません。先日ふらっと訪れたヨドバシカメラ秋葉原店で自転車売り場があり、そこで現物を見て納得。あまり余計なブラケットのないサスつきMTBでも取り付けのできるステーを2種同梱して、そこからアームでバスケット荷重を受けるようになっていました。早速購入して取り付けを終わりました。写真のピンクの枠内が件のアームです。先代のバスケットも同じメーカー(OGK)の製品でした。
 さて、この週末は、老化が目立ち始めた自宅トイレのウォシュレット(Panasonic製のため正確には「ビューティトワレ」)の更新を行いました。ちゃんと節電モデルですので、普段はヒーター電源は入っておらず、人が近づくと「ピッ」と音がしてヒーターが働く、という優れものです。これで「3回に1回は狙いがはずれる」洗浄時の問題が解消されました。販売店の人にも言われてはいたのですが、タンクへの配管をそのまま使おうとしたところ、水漏れがおこってしまい、製品についてきたフレキシパイプを使わざるを得ませんでした。人の意見はちゃんと聞かないとイケマセンね。

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2011.05.20

第52回日本神経学会学術大会

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 現在、名古屋国際会議場で標記学会が開催されています。昨年の第51回までは「神経学会総会」という名称だったのですが、今回から「学術大会」となりました。ちょっと威厳が格落ちしたみたいで残念でなりません。とはいっても、神経全般にわたる広範領域に関する発表や展示が目白押しです。
 「末梢性めまいは脳卒中予測因子となり得るか?」という国立循環器病センターからの発表にはちょっとコメントを出しておきました。検討されたのは「めまいを生じて入院となった患者さんたちだけ」が対象であり、さらに末梢性めまいと診断した根拠が「MRIなどの検査で脳血管性病変などが否定された」だけであったため、本来的な「外来診療で十分な末梢性めまい」がまったく考慮されていなかったのです。こうした権威ある施設からの発表は将来かなり引用されて余計な評価(というよりTV解説のネタ)の元となる可能性もあり、タイトルから十分に考慮してつける必要があります。結論的にはこの「データだけで予測因子と言ってはいけない」と考えます。
 Fukuoka Stroke Resistry (FSR)のデータを基にしたいくつかの発表がありましたが、非弁膜症性心房細動(NVAF)をもち、脳塞栓症を発症して入院された患者さんのうち、しっかりと抗凝固剤ワルファリン(ワーファリン)を投与されていたのはなんと28%に過ぎず、さらにコントロール指標であるPT-INRが高齢者目標値の1.6に達していたのはそのうち21%であった、という発表はかなり衝撃がありました。確かにワルファリンの投与調節は煩雑ですが、投与するからにはそれなりの面倒(と医療機関自体の金銭的・時間的損失)も承知の上で望まなければなりません。そうした観点からは前項で述べたダビガトラン(プラザキサ)への移行も患者さんと相談しながら進めてゆく必要がありそうです。

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2011.05.15

プラザキサ新発売記念全国講演会

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 5月14日、標記講演会がザ・プリンスパークタワー東京で全国から905名もの参加者を集めて開催されました。新規抗凝固薬「プラザキサ」は、これまで50年近く使われてきた「ワーファリン」に次ぐ心房細動がある患者さんの脳梗塞発症を予防する薬剤です。ワーファリンでは診察の都度必要であった効果判定のためのモニタリング(現在ではPT-INRで行っています)や、ビタミンKを含む食材(納豆や青もの野菜など)の摂取制限がないなどの利点を有しています。
 当院ではこれまでワーファリンを投与してきた患者さんたちにはこの薬剤の登場をご説明し(すでにTVなどの情報で聞かれることもあります)、ご本人やご家族のご希望を聞きながらプラザキサへの移行かワーファリンの継続かを判断していただいています。通院が大変な方々はワーファリンのまま(新規薬剤は発売後1年間は14日分を超える投薬ができません)、「どうしても納豆が食べたかった」という理由でプラザキサを選択した患者さんもおられました。普通、新しい薬剤が登場してから国内で使用が可能になるまでは約2年近くがかかるものですが、プラザキサは国内600名ほどの参加患者さんがあったものの全世界レベルで18,113名のエントリーを得たワーファリンとの非劣勢試験(RE-LY試験)を経ただけで2010年3月に厚生労働省へ薬事申請され、早くも2011年1月21日に承認されたというスピード診査がなされました。米国での承認も昨年6月だっただけに「なぜ、こんなに早く」といぶかってしまいますが、良い薬がいち早く使えるのはいいことだ(ドラッグ・ラグの解消)、としておきましょう。
 なお、城東地区での講演会が6月28日(月)に予定されており、メイン演者の山下武志先生(心臓血管研究所)の前に、小生が当院での抗凝固療法について講演をする予定になっております。

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