« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011.06.29

第2回 Stroke Seminar

1106stroke
 サノフィ・アベンティスの主催による標記研究会がロイヤルパークホテルにて開催されました。日本医科大学内科神経・腎臓・膠原病リウマチ部門講師の大久保誠二先生に「当院SCUでの抗血小板薬の使用経験」について、また、亀有病院脳神経外科部長の山下陽一先生に「脳梗塞急性期患者の診断における経食道心エコー検査の意義」につきご講演いただきました。ちょうど同社の抗血小板剤であるクロピドグレル(商品名プラビックス)が、50mg・75mgいずれの使用量でも脳出血合併の発現頻度が少ないという論文が発表されたばかりで、タイムリーな勉強会となりました。日本医科大学付属病院(千駄木)のSCUでも、来院患者のうち10%近くが症状軽快したため収容されずに至っていること(こういう患者さんたちはその後の管理が非常に重要です)、さらに亀有病院にて「初期診断ですっきりしない」「発作性心房細動が隠れているような気がする」症例に対し経食道心エコー検査を積極的に取り入れられているのを拝見できたことが大変な収獲でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.06.27

SPAFミーティングin城東

1106spaf_2 3件前のエントリーで記した標記会合が日本ベーリンガーインゲルハイムの主催により両国第一ホテルで開催されました。メイン演者は心臓血管研究所の山下武志先生ですが、それに先だって「当院における抗凝固療法の現状」と題する講演をさせていただきました。これまでワーファリンのみしか選択肢がなかった非弁膜症性心房細動を有する患者さんたちの脳塞栓予防のための抗凝固薬として登場したダビガトラン(商品名プラザキサ)の当院での使用経験につきお話しいたしました。
 山下先生のご講演は全国講演会の時の内容をより詳細にしたものでしたが、その中で重要だったのが下記2点です。(1)抜歯まえの休薬は最後の服薬から6時間過ぎていれば問題ない→午後の抜歯であれば朝食時の服薬はそのままで大丈夫、内視鏡時には生検があっても24時間前から休薬すればよい、(2)ダビガトランによる消化管出血のリスクは上部(胃・十二指腸など)についてはワルファリンと変わりないが下部(大腸・直腸など)のリスクは上部とほぼ同等(つまりワルファリンより高い)だが、その出血は以前から大腸癌や痔疾などの基礎疾患があったものを「普段より早く」出血させてしまうに過ぎない。
 講演後、山下先生・小生の座長をお勤めいただいた江戸川区医師会市川先生・山下先生の座長を務められた江戸川病院大平先生などとしばらく歓談させていただきました。まだ発売3ヶ月目であり14日分の処方しかできず、薬剤単価も高い薬剤のため完全にワルファリンに取って代わることは出来ませんが、1ヶ月ごとにPT-INR検査を行わなければならないうえ、ビタミンKを含む納豆・青菜などの摂取制限があるワルファリンに比べ患者さんのメリットは大きいものと考えられます。また、これまでワルファリンの適応であるにもかかわらず抗血小板剤(アスピリン・クロピドグレルなど)で代用されていた、あるいは投薬を受けていなかった非弁膜症性心房細動の患者さんに対してこの薬剤が果たす臨床的必要性はかなり高いものと考えられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.06.26

IHC2011(国際頭痛学会:ベルリン)その1

1006ihcfutari H.C. Diener教授が会長を務められるIHC2011がベルリン・Maritimホテルで開催されました。すでに研究から遠ざかっている自分としては、やはり実際の治療論が興味の中心となります。日本国内からは慶応・北里・獨協など、主としてポスター展示が出ていました。目新しいものは(1)針のないトリプタン剤自己皮下注射器、(2)群発頭痛用に特化された高濃度酸素吸入ボンベ、(3)片頭痛治療薬の評価に「2時間目の時点における効果判定」を選ぶか「全般改善度」を採るかというディベート、(4)片頭痛に対するボトックス治療方法論の確立、などが挙げられます。
 今日は帰国したばかりのため、明後日以降ゆっくりご報告いたします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.06.16

第26回日本老年精神医学会

 本日・明日と2日間にわたり新宿京王プラザホテルで表記学会が開催されています。日本老年学会総会と合同開催のため、昨日から会場はオープンしており、合同ポスター発表をのぞいてきました。首都大学東京の繁田先生のセッションを見ていたところ、岡山大学の阿部康二教授に声をかけて頂きびっくりしました。
 佐賀大学の渡邊先生の「高齢者における死生観...」という発表は「とうとう学会でもこうしたテーマが取り上げられる時代になったか」という感慨を持ちました。まだご研究は緒に就いたばかりで対象者数はあまり多くありませんが、「あの世の肯定の強さは生へのこだわりへの強さと連なる」「他者の死を経験するほどあの世に肯定的になる」というまとめには同意できるものがありました。自分の患者さんでも心停止−仮死状態から蘇生させた人たちはどうも「あの世」を見てきた体験を話されることがあり、興味深いものがあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »