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2011.07.31

日光の林間学校に行ってきました

 校医をしている中小岩小学校の6年生が昨日から明日までの予定で日光・霧降高原にある江戸川区立林間学校に参加しています。先代校医である父は毎年自家用車で日光へ向かい、一泊を供にしていたのは知っているのですが、僕自身が校医になって以来スケジュールの関係でなかなか同じようにできませんでした。今回はなんとかスケジュールに都合をつけ、本日午後生徒さんたちがハイキングから戻っている頃合いをみてちょっとだけ顔を出してきました。
 生徒さんたちは「車に酔った」「のどが腫れ微熱がある」が一人ずつで、特に流行っているヘルパンギーナではないことを確認してきました。出かける前日に全員健診しておくのですが、なかなか急性疾患の予測は難しいものです。昨夜は福島で震度5の地震があり、日光もかなり揺れたとかで睡眠不足の生徒さんもいたようですが、本日のハイキングもなんとか天気が保ち、宿舎内でもワイワイ楽しそうにしていて一安心でした。昨晩の肝試し、今夜のキャンプファイヤーは雨でお流れになってしまいましたがいい思い出とともに明日帰京されるのを祈るばかりです。

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2011.07.20

お見舞いの旅(石巻)

1107kuwashima 震災直後のエントリーで書いた、カミさんの妹の嫁ぎ先がこちらの桑島先生です。幸い、桑島歯科クリニックのある石巻市蛇田地区は津波による床下浸水(夜9時頃に上がってきたとか)のみで済み、現在は普通に診療を行っておられます。ちょっと先の場所では自動車が通れないような水深の浸水が5日間も続き、電気や水道もなかなか通らず、携帯電話が移動中継車で一日のうちきまった時間通じるようになって初めて消息がわかりました。当ブログをご覧になった方々からいただいた励ましに頭の下がる思いです。
1107ishinomaki
 とはいえ、石巻は今回の震災でもかなりの被害を受けた地区であり、海岸沿いの集落はかなりの被害を受け、水産加工業や製紙業などが大打撃を受けました。仙台と石巻を結ぶ住民の大切な輸送手段である仙石線はいまだに復旧の目処が立っていないそうです。写真の奥に見える、あたかも堤防のように見えるものは瓦礫であり、台風や高波が来た時どうなるのか気になります。また、スクラップになった自動車などが同様に積み上げられている場所があったり、いまだに水が引かない場所があったり(1メートルもの地盤沈下と聞きました)して、まだまだ「復興」というにはほど遠い現実があることがわかりました。
 市内では先日から蒲鉾の「白謙」が営業を再開しており、カミさんが長蛇の列に並んで買い込んで来ました。さきほど一口味わってみましたが昔ながらの美味しさでした。

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お見舞いの旅(黒川郡)

1107kumagami_2  目々澤家は戦国時代の昔から仙台の伊達藩にお勤めしておりました。幕末には仙台藩の薬草園の管理を任されていたという言い伝えがありますが、それ以前は屋敷が現在の黒川郡にあり、敷地内にあった墓所(写真)は現在縁のあるKさんが守っていてくださいます。こちらにも地震見舞いを兼ねてお参りをしました。墓所もきれいにして下さってあり、お線香を手向けてきました。聞くと、当代のご主人の弟さんご一家が石巻で被災され、お嫁さんのお母様が亡くなっておられたことがわかりました。近くにはトヨタ系列の工場もでき、着実に環境が変化しつつあることがわかりました。

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2011.07.17

お見舞いの旅(宮古市)

1107miyako 定休の第二土曜日と振り替えで16日を休診とさせていただき、東日本大震災で被災された方々のお見舞いに出かけることにいたしました。
 仙台で10万人もの人出があるイベント(六魂際)があったこともあり東京からの東北新幹線は指定席が取れず、自由席で乗り継いで盛岡に入りました。レンタカーを借りて国道を走り宮古市へ。海が見えるまでは全く普通の街並みで「どこが被災したのか?」と訝るほどでしたが、TV映像で水が超えていた高い堤防が見えると街並みがすっかりなくなり家屋の土台だけが残された光景が目に入りました。カミさんの先輩の歯科医院は、こうした中一軒だけ取り残され、一階部分だけの被害ですでに二階にある診療室は診療を再開しておられました。こちらの写真のちょうど奥の部分に当たるそうです。歯科医師会からの見舞金や義援金などとすでに届き、自治体によって周辺の半壊や全壊の家は(土地所有の確認のために)土台部分を残してきれいに撤去され、あたかも巨大な工事現場にいるかのように見えました。とはいっても沖に見える壊れた堤防や別の場所では手つかずの家屋も見られました。それとは対照的に風光明媚で有名な「浄土ヶ浜」では、自然の景観は津波にのまれても傷ひとつないように残り、先生の奥様が「津波が来ても壊されたのは人間が造ったものばかり」という一言が印象的でした。

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2011.07.10

Triptan Symposium 2011

Chateaumigraine 神戸ベイシェラトンホテルにてグラクソスミスクラインの主催により、標記研究会が催されました。今回は片頭痛治療薬の「イミグラン」が発売されて10年、「アマージ」が発売されて3年という、節目の年であり、先日ベルリンのIHC2011の会長を勤めたDiener教授を招待して開催されました。教授のご講演では、イミグランの開発過程(1972年に化学物質として同定され88年に最初の症例報告が上がり、91年に臨床使用が始まる)や、実はドイツではナラトリプタン(アマージ)がすでに一般市販薬になったことが紹介されました。母国ドイツの女子サッカーナショナルチームがなでしこジャパンに負けてしまったのを冒頭にチョコっと漏らされたりしました。
 IHC2011のデータをもとに、消炎鎮痛剤とトリプタンの併用も悪くはないこと、CGRP阻害剤やTelcagepantといった新規薬剤の可能性、さらにBOTOXの有用性も紹介されました。そのほか、国内の錚々たる頭痛専門医からのレクチャーもあり、有意義な一日でした。
 最後のセッションの座長となった女子医大の清水先生は「私がこういうところで座長をするのは余り経験がないのですが」と演者をご紹介され、かなりご自分で喋りたかったようにお見受けいたしました。

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2011.07.09

CNS expert meeting

室町のマンダリンオリエンタルホテルにおいて、標記研究会が開催されました。これから発売されるイクセロンパッチに関わる貴重な情報を得ることができました。「あの患者さんに使ってみたい」という情報もありました。詳細はクローズドな会のため許可を得てから。「ただの貼り薬」ではなさそうです。

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城東MRFを考える会学術講演会

 7月8日、第一三共(株)の主催により、標記研究会が浅草ビューホテルにて開催されました(僕にとっては2夜連続!)。今回は6月に発売された抗認知症薬「メマリー(一般名メマンチン)」のデビューでもあります。講師は医局の先輩である北村伸先生(日本医科大学武蔵小杉病院教授)で、認知症の診断から、今年度発売になる3種の抗認知症薬(ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン)をあわせて4種となった認知症治療薬の選択についても先生の見解がご披露されました。

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第3回城東PDセミナー

 7月7日、ノバルティスファーマの主催により、浅草ビューホテルにて標記研究会が開催されました。区医師会看護学校の講師会があり、前半の講演は聴講できませんでしたが、黒岩義之先生の「日常生活における神経学的探索:科学的直観の価値」は聴講できました。
 「ハンマー、ノート、鉛筆を用いた小さな実験」という、日常よく見る人間の動作の中に隠れている「なぜ、そうなる」のネタを探し出し、科学的に論証し論文に仕上げてしまう、という先生の直観力に感服いたしました。政治家は左眉が上がっている、医師や芸人・女性は右眉が上がっている、などについての考察(僕は左眉上がりです)、本来は利き手でないはずの左手が楽器の場合操作上のキーポイントなるのは左手が実は感情に繋がっているためである、などなど、難しい神経内科の病気に関わる話から離れながら神経内科の本質をえぐられてしまったような印象を受けました。
 一緒に聞いていた三品雅洋先生の記事もご参照ください。

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2011.07.03

IHC2011その4(群発頭痛用の酸素吸入器)

1106ihcsanso 群発頭痛は、「普段は数年はなんともない」のに、発作が始まるとほぼ毎晩「目の奥をつかみ出されるような」ひどい痛みが起こりいても立ってもいられなくなるという、日常生活に大きな影響を与える頭痛です。群発頭痛の頓挫にはイミグラン皮下注射が有効ですが、高濃度酸素の吸入も有効と言われています。日本では酸素ボンベを一般住宅に置くことが許されていませんが、入院してこの治療を受けることは可能です。市販のスポーツ用の酸素では効果がありません。また、在宅酸素療法の補助ボンベも吸入酸素量を高くしないとイマイチのようです。Linde社の展示では、群発頭痛の際に適するマスクもしくは吸入器をつけた医療用酸素が出されていました。こうした機器もマメに国内導入されると患者さんのためになるのではないかと思いました。

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IHC2011その3(針のないスマトリプタン自己注射器)

1006ihcsmavel_2 片頭痛頓挫薬の最後の切り札として「イミグラン注」が処方できるようになって2年が経ちました。しかし、インスリン治療などと同様、自分で注射することへの抵抗と実際に注射した薬剤の痛みがなまじっかでないことが、治療継続の上でハードルとなっています。もちろん、「これしか効きませんから大丈夫です」とおっしゃる患者さんがおられるため治療法として成り立っているわけです。
展示会場で見つけたのが「Sumavel」、針のないスマトリプタン自己注射器です。実際に模型を使わせてもらうと決められた距離で定量を皮膚に噴霧するような構造です。痛みがなく、皮膚が赤くなることがあるだけと言われています。すでに、米国・ドイツなどでは医師の処方で使用が可能となっており、日本での早期の導入が期待されます。

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IHC2011 その2( ボトックスによる片頭痛治療)

1106ihcbtx_2 ボツリヌストキシンA型(商品名ボトックス)は、本来顔面けいれんや痙性斜頚の治療薬なのですが、片頭痛に対する有効性が報告されていました。日本国内では名古屋の寺本先生のクリニックほか数施設で試験的に施行されているのみでした。本学会では、臨床第三相試験として行われたPREEMPT試験の成果につきメーカーがサテライトシンポジウムとして報告を行いました。手技も統一され、所定の頭頚部31箇所に各5単位ずつ皮下注射を行うように設定されました。この「31箇所」は一見大変なように見えますが、片側性顔面けいれんでも普通10箇所に注射するため、決して無謀なものではありません。一度施行すれば約三ヶ月は頭痛から開放されることになるそうです。
 片頭痛の患者さんのうち、トリプタン剤がきちんと効き、予防薬服用で頭痛頻度が抑制できているかたであればこうした治療の必要はありませんが、難治型・多発型の患者さんには福音であろうかと考えられます。まだ日本では表立った実施は困難ですが、すでに薬剤は馴染みがあり安全性も確立されており、今後の方向性として対応を考えても良いのではないかと感じました。

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2011.07.02

第2回 National Stroke Summit

 本日、シェラトン都ホテル東京にて日本ベーリンガーインゲルハイムの主催により、標記研究会が開催されました。基調講演は女子医大内山真一郎教授の座長により(2題前のエントリーと同じ)心臓血管研究所の山下武志院長がお勤めになりました。前回は一般のドクター向けの内容でしたが、今回は主として神経内科医を対象にした内容で、より興味深く拝聴いたしました。先生のまとめでは、(1)無症候性の心房細動をどうやって見つけるか、(2)心房細動の初発症状が実は脳梗塞発症である現実をなんとかしたい、とのことで、それはやはり健康診断やカゼひきなどで我々のような一般診療所を訪れる人たちにも「不整脈はないか?」という目を向ける必要性を痛感いたしました。
 「話題提供」は埼玉大学の棚橋教授の座長により、また「パネルディスカッション」は国立循環器病センター峰松一夫副院長・広島大学松本昌泰教授の座長により中村記念病院中川原穣二先生・九州医療センター矢坂正弘先生・富山大学田中耕太郎教授が登壇してアクティブな討議が展開されました。面白かったのは、「もしダビガトランを使用している患者さんが脳梗塞で運び込まれたらどうする」というテーマで、「MerciPenumbraといったリトリーバを使用した血管内治療が望まれる」「t-PAを普通に使っても良いのでは」などの発言がありました。また、これまでの臨床試験ではダビガトランと併用する抗血小板剤につき、アスピリンやキシメラガトランは検討されたことがあるものの、日本国内ではかなり普及しているシロスタゾールとの併用が検討されておらず、これも是非検討していただきたいことをフロアから発言させていただきました。これについては内山先生から「心房細動の患者さんにはシロスタゾールはなじまない」、山下先生からは「循環器内科医はシロスタゾールが嫌い」とのご意見がありました。ただ、すでに脳内動脈の狭小化などでシロスタゾールを使用中だった患者さんに後から心房細動があることが判明することもあり、そうしたケースも考慮すべきことなのではないかと考えられます。

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