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2011.10.01

脳梗塞治療Update<急性期から慢性期へ>

 本日、自分にとっては3日連続となる研究会出席がサノフィ・アベンティス主催の標記講演会でした。抗血小板剤クロピドグレル(商品名プラビックス)の発売5周年記念の一環として開催されました。メインスピーカーたる矢坂正弘先生(国立病院機構九州医療センター)のご講演でのポイントは以下。
1)無症候性の頸動脈血栓性病変がある場合、その狭窄が50%以上だったとしても内科的な治療(徹底的な高血圧・高脂血症・糖尿病などのリスクに対して、および適切な抗血栓療法)をしていれば予後がよい、という発表もあり、そのうちリスクがうんと高い症例を見極めて脳神経外科医のステント治療・手術治療に回してゆくことが今後の神経内科医の重要な仕事となるであろう。
2)脳梗塞後の血圧管理は(これまでに何度も言われているごとく)'lower the better"である。抗血小板療法と抗凝固療法の必要性を見極めて治療薬を選択しなければならない。
3)頸動脈病変を有する非弁膜性心房細動の症例では抗血小板療法と抗凝固療法を併用する必要があるが、どうしてもどちらかを中止せざるを得ない状況に陥った場合は抗凝固療法を残す。
 また、講演会後の懇親会で「ワルファリンからダビガトランに切り替えてしばらく経った症例に偶然PT-INRを測定したところ3.0(!)というデータが出てしまったのですが」という質問をしたところ、「それは腎機能に問題がある可能性があります、APTTもお測りください」とのご返事をいただきました。早速対処することにいたします。現在CRNNやBUNは許容範囲内なのですが、こうして「マーカーがない」と言われているはずのダビガトランに対し、実際に明瞭な腎障害が現れるまえに今後を評価するための検査方法は旧来のPT-INRで良いのかも知れません。

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