江戸川区こころのフォーラム
昨23日、持田製薬の主催で小岩・ニューオークラにおいて標記研究会が開催されました。特別講演「うつ病の診断と治療」の演者は東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長で精神神経科教授の伊藤洋先生でした。「なぜこれまでのSSRI(のうちパキシル・ジェイゾロフト)は効かないように見えるのか」「SNRIのリフレックスは50%の人には良眠と劇的な効果が現れるのに残りの人たちにはただ翌日もフラフラするダメな薬と言われるのか」「トリプタノールは本来眠れる様にしてくれる薬なのに一部に不眠を訴える症例があるのか」などの疑問があったのですがそれらすべてに明解な回答を得ることができたご講演でした。
いくつかのtipsを列挙しておきます。「SSRIは不安をとってくれるがSNRIは心を賦活してくれる」、「『すっと寝ていることができたら楽だと思うことがありますか』と尋ねてイエスだったらうつ病の可能性が高い」、「『寝るためのお酒』が必要な人はうつである」、「いくつかの抗うつ剤を最大量まで使用して効果が得られなかったら精神神経科へ紹介を」、「普通の降圧治療を行って血圧の下がらない高血圧症患者さんはOSASがないか疑うべき」。いずれも、非常に役立つフレーズでした。
なお、最近ある精神神経科医から「もう打つ手がないから神経内科にかかれば」と言われてしまったといううつ病の患者さんがおられました。これを話すと言下に「それは由々しき問題」と言われました。うつ病はどこまで行っても最終的に精神神経科でないと診療が困難な疾患です。一般の内科医よりはわれわれ神経内科医の方が若干の経験はありますが、やはり難治例はプロにお任せしないとなりません。これをしっかり確認していただいたことも大きな収獲でした。
(写真は昨年11月に開催された慈恵葛飾医療センター内覧会時のものです)
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