プラザキサ全国学術講演会
ザ・プリンスパークタワー東京にて標記講演会が開催されました。ダビガトラン(商品名プラザキサ)は昨年春に発売され、途中腎障害などを中心とした患者さんの死亡事故などからブルーレターが出されたものの発売後1年が経過し、4月から2週間分の投与制限が解除されました。これまでワルファリン(商品名ワーファリン)しかなかった心房細動の患者さんの脳梗塞発生を抑制することができる抗凝固剤で、僕も2度ほど使用経験を講演したことがあります。
今回はシンポジストの先生たちが1時間半ほど演壇上に出っぱなしと言う変わった構成でした。改めて確認されたことは、本薬剤の投与開始直前直後にはクレアチニンクリアランス(Crnn、年齢、性別、体重)・ヘモグロビン・aPTTなどのチェックが必要であること、でした。そして使用して良い患者さんを見極めること(65歳ぐらいまで、腎機能が良く、体格もありなるべく男性という基準)も重要であるという趣旨でした。75歳を過ぎていたら投与は考え物である、とのこと。しかし、我々市中で開業している医療機関にはこういった「よい」条件の心房細動患者さんはあまり現れないのも事実で、「贅沢を言っているわけにもいかない」のです。aPTTは血液凝固のひとつの物差しですが、施設基準の2倍を超えるまで延長したら(だいたい50秒を超えるぐらい)使用は差し控えた方が良い、との目安も明らかにされました。14日間の投与制限解除で最大90日分まで投薬が可能になりますが、できれば30日分にとどめ、定期的な血液検査をすることが勧められました。
ワルファリンは投与量の調節をきめ細かにすることが大切(そのため来院の度にPT-INRの血液検査を行いできれば至急検査で結果を評価する)ですが、このコントロールがうまくいかない症例がおり、こうした患者さんにダビガトランを出したかったわけですが、こうした「PT-INRの安定しない患者さん」は服薬コンプライアンスが悪いだけのことがあり、ダビガトランを導入したからと行って状況が改善するわけではないというお話もありました。
懇親会で心臓血管研究所:山下先生に意地の悪い質問をしてみました。「70歳でダビガトランを開始した人が何事もなく5年経ったらどうしたらいいんでしょうか?」すると、山下先生は「5年経った時点で考えましょう、その頃にはより小容量のダビガトランやもっと良い薬が出ているかも知れないから」。
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