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2012.06.25

第27回老年精神医学会

1206 6月22日、目々澤醫院の診療をお休みして大宮で開かれている日本老年精神医学会に参加してきました。時間的余裕がなく、山折哲雄先生(宗教家)の特別講演「日本人の死生観:大震災の惨禍を越えるもの」と斎藤正彦先生の生涯教育講座「成年後見人制度は高齢者の人権を守るか?」の聴講のみとなりました。
 山折先生の講演(写真)はスライド1枚もない講演で、被災の現地で大伴家持の古歌「海ゆかば水漬く屍、山行かば草生す屍」の句が思い起こされたと始められました。寺田寅彦は『日本人の自然観』で、日本は予測不可能な地震を多く有する国土で経験的科学に基づいた「無情」という宗教的真実が国民意識の奥底に根付いている、逆に和辻哲郎は『風土』で予測が可能である台風に代表されるモンスーン風土が日本人の性格を規定づけており、そこから世界に類を見ない倫理観・道徳観が築き上げられた、と話されました。最後に、宮澤賢治が『科学は冷たい、学問は暗い、芸術は情熱を失っている』と書いていたことを紹介し、実際に東北大震災に遭われた地区でメンタルケアを担当しているドクターからの質問に対し、「今は深い悲しみを共有してあげる、寄り添う」ことしか残された人たちを救う方法はないのではないか、と答えておられました。
 斎藤先生のご講演では成年後見者制度の実施以来、本来の「資産管理能力を失った」患者さんの資産保護」という目的以外の「相続争いの手段としての利用」や「詐欺行為としての利用」まで発生している事実が知らされました。驚くべきことにこの制度が始まって以来、本来の後見人たるべき実子・孫・親族以外の「第三者後見(市民後見まである!)」が40%以上もあるということを紹介されました。我々認知症の患者さんを診ている医師としてはこの制度のための診断書を書かねばならない立場にあり、家庭裁判所からの依頼を受けるわけですが純粋に医学的事実を書き込むことになるのですが、ご本人が主張することとご家族が主張することに大きな隔たりがある場合にこれまで以上に細心の注意を払わねばならないことを痛感しました。認知症の重症患者さんでよく見られる「病院やホームに(本人の意志にかかわらず)入院・入所させねばならない場合にはこの制度よりも行政措置の「身上監護義務」をまず適用すべきだ、とも説明されました。この件はもっとよく勉強しなければなりません。

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