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2012.09.24

清水俊彦先生の頭痛講演会

1210 江戸川区医師会第16回綜合臨床研究会として、東京女子医科大学頭痛外来の清水俊彦先生をご招待し、「片頭痛の最新治療」のご講演をしていただくことになりました。本会は基本的に江戸川区医師会会員が対象ではありますが、近隣の先生方のご参加も歓迎いたしますし、薬剤師の皆様の参加も歓迎いたします。医師会員以外の参加ご希望の方は当方までメール(phd@memezawa.com)にて院長まで10月9日までにご連絡ください。なお、医療関係者向けですので一般の方々のご参加はご遠慮ください。
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 本講演会は無事終了いたしました。こちらにご報告をアップしてあります。

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2012.09.06

江戸川ADカンファランス

1209ad 本日、タワーホール船堀にて標記研究会が第一三共製薬の主催で開催されました。メインスピーカーは慈恵医大葛飾医療センター神経内科部長の鈴木正彦先生ですが、前座として「メマリーはこんな症例に」と題したご報告をさせていただきました。NMDA拮抗剤であるメマンチン(商品名メマリー)は他の抗認知症薬が抗コリンエステラーゼ系の作用機序であるのに対して神経細胞壊死の進行を防ぐという作用機序で働きます。実際に認知症の患者さんに対して興奮性を下げるなどの特徴があり、単独使用のほか、他の抗認知症薬と併用も可能という、フレキシブルな側面があります。そうしたことと効果があった症例のうち面白そうな背景を持った3症例を呈示させていただきました。
 鈴木先生の講演は「認知症の鑑別診断」というタイトルですが、MRIなどの基本的画像診断のみでなく各々の疾患に見られる特徴的な臨床神経症状(ビデオも印象的)やSPECT、さらにはPETまでも駆使して「きちんと診断をつける」ことに注力しておられることがよく解りました。普通「剖検するまでわからない」場合のあるCBD(大脳皮質基底核変性症)もしっかり診断しておられるのを供覧され、最先端を走る先生の素晴らしさを痛感いたしました。なお、葛飾区ではすでに認知症診断-治療のためのネットワークが慈恵医大葛飾医療センターを中心に動き出していることをご紹介され、江戸川区が出遅れているのを認識させられました。

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2012.09.03

城東心房細動カンファレンス

1209 本日、標記研究会がバイエル薬品の主催にて錦糸町の東武ホテルレバントで開催されました。講師は江戸川病院循環器科部長の慶田毅彦先生で、座長を務めさせていただきました。
 新規抗凝固薬である同社発売のリバロキサバン(商品名イグザレルト)は本年1月に製造承認がおり、実臨床で使われるようになりましたが、昨年発売されたダビガトラン(商品名プラザキサ)とは異なりなかなか売り上げが上がっていないようです。同社社内の情報では原産国ドイツではプラザキサの4-5倍の売り上げがあるそうですが、やはりプラザキサの発売半年でのブルーレターなどの影響もあり、発売早期での投薬に日本中のドクターがおよび腰になっている可能性があります。
 ご講演では、同薬剤のワルファリンやダビガトランに対するメリットやデメリットなどがわかりやすく説明され、さらに最新のヨーロッパにおける心房細動への抗凝固薬の適応基準が変わってきたことへのご説明(CHADS2スコアではなくCHADS2-VaSCスコアで適応検討する、ワルファリンは第2選択となり第一選択はダビガトランかリバロキサバンになった)などがなされました。

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2012.09.02

「脳過敏症候群」に関する頭痛学会コメント後日譚

 前回こちらで記載した「『脳過敏症候群』に関する頭痛学会コメント」が、日本頭痛学会のHPから削除されていました。第一段階では清水俊彦先生の実名が消されたものになり、第二段階として削除になったようです。同時に、リンクが張られていた「News and topics」のページからもタイトルが消え、しかし「何でそうなったか」については触れられていないままです。本件についてはそれなりに公のHPで個人名まで出しての攻撃であっただけに釈然としないものがあり、11月の学会総会でどのような動きになるのか注目したいところです。
 ブログの外では、ある親しい脳神経外科の先生からは「(患者さんに脳過敏症候群について聞かれても)現段階ではそのような病気があるとは思えない、僕は知らない、と繰り返し話します。大学の看板しょって外来している以上好い加減なことはできません」というご意見もいただきました。これも正論であり、他の疾患で同様なことがあれば僕も同様の反応をします。
 目々澤醫院では脳過敏症候群ではないかとおとずれた患者さんに対して、「(デパケンの)この使い方は健康保険で認められてはいない、でも効いた人たちが居るという報告は聞いたし、読んでいる。だから、検査そのものが重要ではなくて耳嗚や治りがたいめまいの患者さんへのひとつの治療選択肢だ」とご説明しています。もちろん、過去もしくは現在に片頭痛の既往があれば片頭痛の病名で投薬しています。実際に4割ぐらいは効果があり(中止すると悪化する)ます。これらの症状の方々はどんなちょっとしたことであっても希望の光が見つかればそれをたぐって来院されるわけで、一概に「ダメだよ」とは言えません。ちゃんとリスクを説明し、どの程度の効果が出るかはやってみないとわからないことも説明した上で理解していただければ投薬するし、それが効果があればお役に立てたことになります。
 「ためしてガッテン」のように天下のNHKが放送する番組ではあまり極端な作り方をして欲しくないと思います。昨日も海外でダイビングインストラクターをしている方から「過換気症候群で紙袋呼吸はダメになったんですか?」というご質問をいただきました。よく見れば必ずしもそういうわけでもないのですが、タイトルはどうしても「あおる」感じになってしまい、タイトルは何らかの形で他のメディアにも出て残ってしまうわけです。これも番組の作り方がマズイからで、こうした面にきちんとした監修が入るようにできないものかと痛切に感じます。
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2012.11.17追記
 昨日の頭痛学会総会ではこの件に関してフロアから会長・理事長に質問があり、「今後脳過敏症候群に対する検討を学会でも討論の俎上に載せる、今回の学会ではまだそうした準備が出来ず次回・次々回へその意向を引きついてもらう」との喜多村会長からの回答がありました。

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江戸川壬生総合臨床セミナー

1209 昨9月1日(土)、興和創薬主催の標記研究会が銀座・三笠会館にて開催されました。タイトルからおわかりのように、この会は壬生にある獨協医大の出身者で江戸川区に勤務している人の会で昨年までは江戸川獨協会として開催していたものです。いろいろなしがらみから、本年度はこのタイトルでつつがなく開催できました。今回、講師としてお呼びしたのは足立区医師会長の須藤秀明先生です。先生は獨協の1期生で、東京都医師会の医療開発委員会でもご一緒させていただいております。今回は「健康診断における食塩摂取量評価の有用性について」というお話を聞かせていただいたほか、一昨日あったという東京都の災害時対策のお話も聞くことが出来ました。
 足立区の診療所に通院中の患者さん225名の症例から、随時尿をもちいて1日の塩分摂取量を割り出し(たぶんこの方法)血圧コントロールや年齢階層別の評価などを行ったお仕事です。未治療でありながら血圧が140mmHg以下で食事摂取量が少なければ塩分摂取量も少ないこと(確かに必然)、利尿剤を使用しているからと言ってあまり尿中Na排泄は多くない(飲み始め2-3日の間だけ増加する)など、確かに「言われればそうだな」というデータが実際の生データで提示されると説得力がありました。
 また、足立区は昨年3.11の後に計画停電実施された都23区の中でも希有な体験した地区だったわけですが、実際にどれだけ被害があったか(CT/MRI/生化学検査のストップ、救急外来のストップ、透析時間の変更)、どんな方法で凌いだか(人工呼吸器への非常電源の用意、ナースコールが使えなくなるため病院廊下に看護師さんを貼り付ける、閉鎖病棟の鍵が自動的にアンロックされてしまうため人員配置して監視したなど)、が報告されました。また、今後予想される首都直下型地震に際しては災害医療コーディネーターが設定されているものの実際に発生した時にその人たちが勤務していなかったらどうするかが考えられていないこと、さらに発生後に必要な医療活動時に医師の安否確認と身分保障(実際東北大震災で無免許医師の問題がありました)はどうするのか、死体検案の要望が起こった時にどう対処するのかなどまだまだ検討しなければいけない問題が山積していることが語られました。
 ご発表後のディスカッションではゲストで来られた日暮里の谷田貝先生から「浅草ではFacebookのようなネットワークで安否確認をとれるようにしている」とのコメントがあり、調べたところ都医ニュース(記事中盤以降にあります)と実際のログイン画面が見つかりました。江戸川区医師会ではいまだにイントラネット(あまり普及していない)ばかりに固執しており今後の技術進歩を取り込む必要性が痛感させられました。
 また、僕などは非常勤で週1回は印旛まで行っており、実は3.11の地震があった14時45分は印旛から戻って間も経たない時刻だったため、「もし印旛で地震だったらあちらで医療活動をすることになっただろう」「電車の中だったらずっと歩かなければならなかっただろう」「実際に自分の診療所に戻れなかったら『あの医師逃げた』と思われたかも知れない」などの思いが沸き起こっていたのを思い出します。政府や自治体、医師会などの対策は「医者はその医療機関にへばりついているものだ」という前提で進められており、そうでない場合もあることを考慮しなければいけないと思っています。

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