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2012.09.02

江戸川壬生総合臨床セミナー

1209 昨9月1日(土)、興和創薬主催の標記研究会が銀座・三笠会館にて開催されました。タイトルからおわかりのように、この会は壬生にある獨協医大の出身者で江戸川区に勤務している人の会で昨年までは江戸川獨協会として開催していたものです。いろいろなしがらみから、本年度はこのタイトルでつつがなく開催できました。今回、講師としてお呼びしたのは足立区医師会長の須藤秀明先生です。先生は獨協の1期生で、東京都医師会の医療開発委員会でもご一緒させていただいております。今回は「健康診断における食塩摂取量評価の有用性について」というお話を聞かせていただいたほか、一昨日あったという東京都の災害時対策のお話も聞くことが出来ました。
 足立区の診療所に通院中の患者さん225名の症例から、随時尿をもちいて1日の塩分摂取量を割り出し(たぶんこの方法)血圧コントロールや年齢階層別の評価などを行ったお仕事です。未治療でありながら血圧が140mmHg以下で食事摂取量が少なければ塩分摂取量も少ないこと(確かに必然)、利尿剤を使用しているからと言ってあまり尿中Na排泄は多くない(飲み始め2-3日の間だけ増加する)など、確かに「言われればそうだな」というデータが実際の生データで提示されると説得力がありました。
 また、足立区は昨年3.11の後に計画停電実施された都23区の中でも希有な体験した地区だったわけですが、実際にどれだけ被害があったか(CT/MRI/生化学検査のストップ、救急外来のストップ、透析時間の変更)、どんな方法で凌いだか(人工呼吸器への非常電源の用意、ナースコールが使えなくなるため病院廊下に看護師さんを貼り付ける、閉鎖病棟の鍵が自動的にアンロックされてしまうため人員配置して監視したなど)、が報告されました。また、今後予想される首都直下型地震に際しては災害医療コーディネーターが設定されているものの実際に発生した時にその人たちが勤務していなかったらどうするかが考えられていないこと、さらに発生後に必要な医療活動時に医師の安否確認と身分保障(実際東北大震災で無免許医師の問題がありました)はどうするのか、死体検案の要望が起こった時にどう対処するのかなどまだまだ検討しなければいけない問題が山積していることが語られました。
 ご発表後のディスカッションではゲストで来られた日暮里の谷田貝先生から「浅草ではFacebookのようなネットワークで安否確認をとれるようにしている」とのコメントがあり、調べたところ都医ニュース(記事中盤以降にあります)と実際のログイン画面が見つかりました。江戸川区医師会ではいまだにイントラネット(あまり普及していない)ばかりに固執しており今後の技術進歩を取り込む必要性が痛感させられました。
 また、僕などは非常勤で週1回は印旛まで行っており、実は3.11の地震があった14時45分は印旛から戻って間も経たない時刻だったため、「もし印旛で地震だったらあちらで医療活動をすることになっただろう」「電車の中だったらずっと歩かなければならなかっただろう」「実際に自分の診療所に戻れなかったら『あの医師逃げた』と思われたかも知れない」などの思いが沸き起こっていたのを思い出します。政府や自治体、医師会などの対策は「医者はその医療機関にへばりついているものだ」という前提で進められており、そうでない場合もあることを考慮しなければいけないと思っています。

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