Stroke Prevention Conference
昨10月12日(金)、飯田橋ホテルグランドパレスにて標記研究会がバイエル薬品の主催で開催されました。特別講演は熊本市民病院の橋本洋一郎先生で「心原性脳塞栓症の治療・予防戦略:経口第Xa因子阻害薬の役割」の演題でした。リバロキサバン(商品名イグザレルト)は第2番目に発売された新規抗凝固薬であり、本来は非弁膜症性心房細動(NVAF)を持っている患者さんが脳塞栓症にならないよう1次予防・2次予防として服用させる薬剤です。しかし、既に橋本先生たちの脳卒中治療チームでは急性期の脳塞栓症においてさえ、rt-PA(アルテプラーゼ)+エダラボン(ラジカット)による初期治療についで経口投与が可能な(嚥下などの問題がない)症例には急性期からの投与を開始しておられることが報告されました。同様の治療が前座の日医大SCUチームの大久保講師から報告されましたが、こちらでは初日には低分子ヘパリンを使用するという方法であり、いずれ橋本先生たちの方法へ移行していくものと思われます。
新規抗凝固薬はリバロキサバンもダビガトラン(プラザキサ)も半減期が約半日と短く、血中濃度のピーク(最大値)とトラフ(効果が薄くなるはずの値)が生じ、トラフの間の抗凝固作用(脳塞栓発症を防ぐ機能)はどうなっているのかがいつも議論のネタとなります。これについても橋本先生は「薬剤が効いていないはずの時間には他の因子が働いて抗凝固作用を保っているのでは」という仮説を明かされました。確かに、透析中の患者さんには心房細動が多いものの脳塞栓症発症が少なく、それは半減期が短いはずのヘパリンが透析ごとに体に入っているからだ、という現実を知っている我々には受け入れやすい説明でした。
これまでの新規抗凝固薬の講演会は循環器の先生たちが演者になることが多く、脳卒中専門のドクターの臨床に基づいた講演は少なかったため大変インパクトがありました。
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