日本医師会館(東京・駒込)において表記研究会が本日・明日と開催されます。江戸川区医師会医療情報委員の一人として参加してきました。
「医師会データの保存管理の在り方について」と題されたシンポジウム1では、ホストサーバーのダウンによる回復不能な事例が報告された。ファーストサーバー社に依頼していた鹿児島県(HP、メール、グループウエア)と兵庫県(グループウエア)の事例が紹介され、結局自力での復元が必要だったとのこと。同社のパンフレットでは「バックアップ必要なし」約款では「バックアップ必要」と記載されており、さらにユーザからバックアップすべきデータが見えないケースであったとのこと。HPの内容程度であればまだしも、重要な医師会内部のデータなどをバックアップできる日本医師会のクラウドサービスを作る必要性につきフロアから要請が提言されました。日医石川理事から現状では困難かと思うが検討する旨の返答がありました。
「ORCAと認証局」と題されたシンポジウム2では、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の現状報告(導入医療機関12,530軒、国内シェア13%、熊本では30%を越えた、など)のほか、医師資格の電子認証を行う「日医認証局:HPKIカード」の現況が報告されました。上記リンクには古い情報しかないため、てっきりこのプロジェクトは頓挫したかと思っていたのですが、近い将来に厚生労働省が目論んでいる電子処方箋のため医師と薬剤師の認証実現が必要となり、また最近のニセ医者騒ぎなどから「持ち歩ける医師の公式の認証」が必要となったためメカ的な開発を終了し一部地域での実用化に向けての歩みが始まっていることが明らかにされました。実際、熊本大学では附属病院の電子カルテを病院内だけでなく研究棟などの場所でも閲覧できるようにするためにHPKIカードを導入しており、島根県医師会では病院-診療所の連携のため設けられた「まめネット」において電子紹介状を合法化するためにHPKIカードを導入することを決定し4-5月には実働が始まるとの報告がなされました。ただし、この医師認証のためには「日本医師会に属さない医師の認証をどうするか」という問題があり医師会では「それなりの代価を支払わせて非会員も認証する」姿勢であるようなのですが、フロアからは反対意見も多数挙がりました。この認証には「コピーでない実物の医師免許を持参しての対面診査」が必須とされており、それだけでもハードルが高く地区医師会の作業量が増えることにもつながり、よほどの必要性がないと普及には時間がかかりそうです。
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