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2013.02.27

お天気と頭痛のカンケイ

130114 以前、ベルリンで開催された国際頭痛学会の折、慶應義塾大学神経内科の鈴木教授からご紹介いただいた舟久保 恵美先生は「お天気と片頭痛」で最近注目されている研究者のお一人です。昨年12月6日の爆弾低気圧や本年早々の大雪(左図)の時には多くの患者さんが「大変でした」と口を揃えました(なんともなかった、という患者さんももちろんおられました)。そうした「お天気と頭痛のなぜ?」に答えるような記事が舟久保先生へのインタビューで創られました。頭痛の患者さんはぜひ一度ご覧ください。

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2013.02.10

日本医師会医療情報システム協議会(2)

13022 昨日より開催されている協議会第2日目です。
 シンポジウム3は「レセプトデータの行方」と言うテーマでした。現在、医療機関から提出される診療費請求はレセプトデータとして電子化されています。このデータは一面医療費の支払いに利用されるばかりでなく、政府の医療データとして匿名化された上で別目的での利用が始まっているのですが、それが適性に利用されるかどうかは有識者委員会の判断に委ねられているものの政府側からの利用には歯止めがかかって居らず、医療費抑制のための資料として用いられる可能性もあります。出来れば医師会側からレセプトデータの持続的な分析を続け、開示すべきデータがあれば積極的に広報してゆく必要があるのではないかという提言がありました。さらに、米国のようにクラウド式の無料の電子カルテが出現してきた時にレセプトデータが業者により利用されてしまう事も予想されます。今後こうした点へのチェックがより大切になってきました。
 シンポジウム4は「医療連携について」でした。長崎県の「あじさいネット」和歌山県の「認知症サイバーパス」、大阪府浪速区の「ブルーカードシステム」宮城県の「みやぎ医療福祉ネットワーク」における事例が報告されました。あじさいネットは日本医師会からの評価も高いシステムで、地区中核病院の電子カルテ(検査データ・画像・医師の記録など)を周辺のクリニックで閲覧できるようにするというシンプルかつ大胆なコンセプトで、すでに全県的な広がりとなっているものです。和歌山県は糖尿病や認知症についての「パス」を専門医-かかりつけ医が相互に入力しながら治療の利便性を図ろうとするものです。浪速区のブルーカードは患者さん個人の基本データをA4版の紙1枚に記し、FAXを用いて基幹病院へ登録させ、「その人に何かあった時のための未来の紹介状」として機能させようという取組です。最終的には医師会を核にしたVPN回線網で閲覧を可能にさせようという、すでに多数の基幹病院があって簡単にシステム変更や割り込みが困難なところでもサービスを食い込ませることができるように考えられたシステムです。震災の復興とからみ、一気に医療連携を再構築しようという宮城県の試みは特に災害の甚大だった石巻・気仙沼でスタートし、その後全県を巻き込むネットワークを目指しており、これまで3者の要素をすべて含んでいるという壮大なプロジェクトです。日本国内を見渡すと数多くの医療連携システムが存在しているものの、実際に稼働しているのは170団体ほどで、50団体ほどは活動停止あるいは縮小しているものと日本医師会では判断しているとのこと。出来れば日本医師会主導で日本中どこでも実現・維持可能な標準的アーキテクチャの提示があってしかるべきですが、実際には地区の実情を踏まえた地方からの提案を吟味し、「いいとこ取り」をしながら地区→県→地方→全国という拡大策をとろうとしているようです。

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2013.02.09

日本医師会医療情報システム協議会(1)

1302 日本医師会館(東京・駒込)において表記研究会が本日・明日と開催されます。江戸川区医師会医療情報委員の一人として参加してきました。
 「医師会データの保存管理の在り方について」と題されたシンポジウム1では、ホストサーバーのダウンによる回復不能な事例が報告された。ファーストサーバー社に依頼していた鹿児島県(HP、メール、グループウエア)と兵庫県(グループウエア)の事例が紹介され、結局自力での復元が必要だったとのこと。同社のパンフレットでは「バックアップ必要なし」約款では「バックアップ必要」と記載されており、さらにユーザからバックアップすべきデータが見えないケースであったとのこと。HPの内容程度であればまだしも、重要な医師会内部のデータなどをバックアップできる日本医師会のクラウドサービスを作る必要性につきフロアから要請が提言されました。日医石川理事から現状では困難かと思うが検討する旨の返答がありました。
 「ORCAと認証局」と題されたシンポジウム2では、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の現状報告(導入医療機関12,530軒、国内シェア13%、熊本では30%を越えた、など)のほか、医師資格の電子認証を行う「日医認証局:HPKIカード」の現況が報告されました。上記リンクには古い情報しかないため、てっきりこのプロジェクトは頓挫したかと思っていたのですが、近い将来に厚生労働省が目論んでいる電子処方箋のため医師と薬剤師の認証実現が必要となり、また最近のニセ医者騒ぎなどから「持ち歩ける医師の公式の認証」が必要となったためメカ的な開発を終了し一部地域での実用化に向けての歩みが始まっていることが明らかにされました。実際、熊本大学では附属病院の電子カルテを病院内だけでなく研究棟などの場所でも閲覧できるようにするためにHPKIカードを導入しており、島根県医師会では病院-診療所の連携のため設けられた「まめネット」において電子紹介状を合法化するためにHPKIカードを導入することを決定し4-5月には実働が始まるとの報告がなされました。ただし、この医師認証のためには「日本医師会に属さない医師の認証をどうするか」という問題があり医師会では「それなりの代価を支払わせて非会員も認証する」姿勢であるようなのですが、フロアからは反対意見も多数挙がりました。この認証には「コピーでない実物の医師免許を持参しての対面診査」が必須とされており、それだけでもハードルが高く地区医師会の作業量が増えることにもつながり、よほどの必要性がないと普及には時間がかかりそうです。

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