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2013.05.23

ピロリ菌除菌の現状と問題点

1305 本日、江戸川区医師会第22回総合臨床研究会が開催されました。表記演題で講師は東京医科大学内視鏡センターの川合隆教授でした。ヘリコバクターピロリ(以下HP)に対する除菌療法の適応が「内視鏡で確認された胃炎」まで拡大されたことを受けての企画でした。
 のっけから最新の話題。DDW2013での発表では、クラコフ(ポーランド)の上水道129カ所のうち12カ所からHPが検出された、と。日本の高年齢層でのHP保有率の高さは井戸水コミュニティでの感染に由来していたことは既知の事実ですが、現代の西欧社会の上水道でもそうなのかと驚かされました。以下、覚え書きを羅列。1)HPは一度除菌すると再感染はほとんど見られない。2)MALTリンパ腫はHP陽性なら除菌・陰性なら放射線か抗がん剤。3)血小板減少性紫斑病(ITP)に対する除菌での有効率は50-60%だが、これによりステロイド使用の必要性が大幅に低下した。4)早期がんの内視鏡治療後は、がん発症の素地である胃粘膜が残されているため、以前の胃切除手術の時代よりはがん再発率が上がっている。5)びらん性胃炎の所見で全体にむくみが強い時にはHP陽性の可能性が高い。6)過形成ポリープはHP陽性のことが多く、胃底線ポリープは少ない。7)鳥肌胃炎はほぼ100%HP陽性で、未分化がんが多く発見される。8)1992年のAsakaらの発表では40歳以上の80%がHP陽性だったが、その構成は2010年のご自身の研究ではそっくり20年分シフトしておりトータルでの陽性者は減少している。9)CAM耐性菌によって1次除菌の成功率は年を追うごとに低下傾向が見られるが、これは幼少期からのカゼなどに対するCAMの内服投与が原因である。10)2次除菌はCAMの代わりにメトロニダゾールが用いられるが、3次除菌ではシタフロキサシン(グレースビット)を用いている。3次除菌は専門機関で。11)ペプシノーゲンを用いたABC検診は非常に有用だが、すでに除菌療法を受けてしまった人では判定困難であり、きちんと事前の問診が必要。12)除菌を行った後の判定には尿素呼気法が適している。血液による抗体検査は陰性化するのに時間がかかり不適。
 以上、いろいろなポイントで「眼からウロコが落ちる」ご講演でした。

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