「医は仁術」展と杉本真樹先生の特別講演
上野の国立科学博物館で開催されている「医は仁術」展に行ってきました。江戸時代に、日本の医学はそれまであった漢方と(主として)オランダ経由で入ってきた西洋医学が合流し、解剖学・手術学・麻酔学などが発展を始め、さらに種痘などの予防医学を「仁」の概念でお金を払えない人たちにも実施するという現代の国民皆保険の基礎とでも言えるような形で広めていった、という歴史を紹介するかたわら、21世紀の医療としてiPS細胞の応用、3Dプリンタを用いた内蔵モデルなどで本来体内にある臓器を可視化・可蝕化する技術も紹介するという展示でした。「華岡清州の妻」という話は知っていてもそれが全身麻酔による乳癌手術の世界初例であったことなどはきちんと認識していませんでした。
さて、本日は特別講演として敬愛する神戸医大の杉本真樹先生による「21世紀の仁術」という講演がありました。杉本先生は展示のうち3Dプリンタや体表面への内蔵データプロジェクションマッピングなどのプロデュースに関わられました。先生のプレゼンテーションはいつもの如くで、ほとんどの聴衆が一般の方々であったにもかかわらずグイグイと惹きつけ、時には和ませて所定の1時間半があっという間に過ぎ去りました。医療画像処理ソフトウエアであるOsiriXとの出会いなどは以前も聴講したことがありましたが、それ以後の3Dプリンタ技術の進展や臓器プロジェクションマッピングの応用範囲拡大などは非常に聴き応えがありました。
会場となった国立博物館の講堂は歴史を感じさせる部屋で、しかし背面投射型スクリーンが備わっているなどきちんと現代対応も出来ていて「さすが国立」と思わざるを得ませんでした。先日上梓されたばかりのご著作「医療者・研究者を動かすインセンティブプレゼンテーション」にサインをいただくのも忘れませんでした。なお、夜にはTBS「世界ふしぎ発見」でも同展をテーマにした番組となっており、杉本先生も出演しておられ、実に内容の濃い「杉本デー」になりました。今後のご活動がより進展することを祈念いたします。
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