第15回日本ロービジョン学会学術総会
当院のご近所、京成小岩駅北側で眼科を開業しておられる田中寧先生のお誘いを受け、大宮ソニックシティで開催されている日本ロービジョン学会にお邪魔いたしました。ご本人によると「予想を上回る参加数」とのことで、会場は賑わっておりました。何よりの驚きは、ポスターの前での熱いディスカッション。医者ばかりでなくパラメディカルの方々や患者さんも参加していたようです。
展示では弱視対策のアイテムが。専用の機器で画面の白黒を逆転するだけでも見やすくなるそうです。同様の展示が6軒ほど並んでいました。中にはスキャナを使って読み込み、自動読み上げするものもあり、この手の市場が発展中であることを感じました。ロービジョンはいわゆる「弱視」なのですが、お子さんの時からそうなっていると周辺が単なる「知恵遅れ」と認識してしまい、指導がうまくいかないことがあるそうです。また、黄斑変性症などで高齢になってから症状発現して来る場合もあり、こうした時にはさらにツールへの依存が必要です。これらはきちんとロービジョンであると認定されれば補助が出て通常価格の10%負担で購入可能とか。
5時半からパネルディスカッション「医療と教育の連携を問う - コミュニケーションギャップの克服に向けて-」。慶應義塾大学 日吉心理学教室の中野先生を座長に、獨協医科大学越谷病院 眼科視能訓練士の杉谷さん、医療法人橘桜会 さくら眼科の松久先生、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の吉田さんが順に登壇。
2番目演者の松久先生。学校教育における「弱視のため困っている」子供への理解ができない教員への対策が必要、と。ベテランと言われる人ほど眼科からの提案を受け入れてくれない。ICTによる視能補助も受け入れず、学習・知能障害と一緒に扱ってしまう。結果として「困っている」子供をもっと困らせてしまう、とのこと。
吉田さんによる行政・教育・学校側からの報告を聞いてから、壇上に3人が揃ってディスカッション。診断書が出ている児童にもきちんとした対策がうたれていないケースもある、と杉谷さん。吉田さんからは「場合によっては学校長あての公文書を作成してもらう方がよい場合がある」との返答。さすが教育はお役所仕事。在来の盲学校ではやろうとしてもロービジョン対策が十分に出来るとは限らない。座長の中野先生も「病院や医師は選べるが学校や教師は選べない」と強調しておられました。
帰り際に田中先生を捕まえてツーショット。この学会は先生が所属していた獨協医科大学越谷病院が主幹でした。お疲れさまでした。いい勉強になりました。
(FaceBookで記載したものを転載いたしました:2014.11.01)
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