2012.05.19

第1回しびれ・痛みの研究会

 本日、標記研究会が大日本住友製薬東京支社にて開催されました。今回事務局をお務めになったのは日本医科大学千葉北総病院脳神経センターの金景成先生でした。時間の制約で前半の一般講演3題だけ聴講してきました。
 金先生の「糖尿病性神経障害に伴う痺れに関する研究」では、糖尿病をお持ちの患者さんが上肢・下肢のしびれを呈した時一般に内科医が「あ、糖尿病性神経障害だね」とVB12製剤などを投与しそれ以上の追求がないケースが多いのではないかという提言でした。実際に脊髄外科の立場で診察してみると絞扼性の障害(脊柱管狭窄症・手根管症候群・足根管症候群など)が発見され、そちらの治療を行うことによって自覚症状の改善されるケースが多いそうです。われわれ神経内科が診ている糖尿病の患者さんと、糖尿病内科・一般内科で診られている患者さんとはちょっと事情が違いそうですが(金先生もコメントしておられました)、自分の感想ではVB12剤でなんとかなるケースは少なく、結構痛みやしびれを訴えられるため脊髄や末梢神経検査をしているため、「確かにそうだね」という印象ですが糖尿病患者さん全体では確かにご発表の通りなのかも知れません。
 横浜新緑総合病院:森本大二郎先生の「上殿皮神経障害の診断と治療」というタイトルに「いったいなんだろう」ということでこの会に出かけたのですが、これが今まで医師の間であまり注目されていなかった腰痛の一部だと言うことがわかりました。どんなものかはこちらの井須先生(釧路労災病院)のページで一部ご確認いただけますが、会場で話題になっていた鍼灸師さんのHPもしくはブログでも記載があります。具体的には腸骨粱の正中から4-5横指付近の部分に圧痛点がありそこから外下方に放散痛を呈する病態のようですが、これ、結構ウチの患者さんでよく見られていました。座骨神経痛を患う方に多く観られていたのでその部分症かと思っていたのですが立派な独立した神経障害だったのです。これに対しブロック注射や手術療法が効果あり、という内容でした。実は患者さんのリクエストに対して「トリガーポイント注射」と同等の感覚で施術しておりました。これからはきちんとした理論に則った治療として実施できるのは嬉しいことです。なお、こちらの書籍(井須先生著書)にも書かれているそうで、早速注文をいたしました。

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2012.04.24

江戸川区こころのフォーラム

1111jikei 昨23日、持田製薬の主催で小岩・ニューオークラにおいて標記研究会が開催されました。特別講演「うつ病の診断と治療」の演者は東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長で精神神経科教授の伊藤洋先生でした。「なぜこれまでのSSRI(のうちパキシル・ジェイゾロフト)は効かないように見えるのか」「SNRIのリフレックスは50%の人には良眠と劇的な効果が現れるのに残りの人たちにはただ翌日もフラフラするダメな薬と言われるのか」「トリプタノールは本来眠れる様にしてくれる薬なのに一部に不眠を訴える症例があるのか」などの疑問があったのですがそれらすべてに明解な回答を得ることができたご講演でした。
 いくつかのtipsを列挙しておきます。「SSRIは不安をとってくれるがSNRIは心を賦活してくれる」、「『すっと寝ていることができたら楽だと思うことがありますか』と尋ねてイエスだったらうつ病の可能性が高い」、「『寝るためのお酒』が必要な人はうつである」、「いくつかの抗うつ剤を最大量まで使用して効果が得られなかったら精神神経科へ紹介を」、「普通の降圧治療を行って血圧の下がらない高血圧症患者さんはOSASがないか疑うべき」。いずれも、非常に役立つフレーズでした。
 なお、最近ある精神神経科医から「もう打つ手がないから神経内科にかかれば」と言われてしまったといううつ病の患者さんがおられました。これを話すと言下に「それは由々しき問題」と言われました。うつ病はどこまで行っても最終的に精神神経科でないと診療が困難な疾患です。一般の内科医よりはわれわれ神経内科医の方が若干の経験はありますが、やはり難治例はプロにお任せしないとなりません。これをしっかり確認していただいたことも大きな収獲でした。
(写真は昨年11月に開催された慈恵葛飾医療センター内覧会時のものです)

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2012.04.21

プラザキサ学術講演会:1年間の使用経験を踏まえて

 丸ビルホール&コンファレンススクエアにおいて標記研究会が開催されました。演者は金沢大学付属病院朝倉英策准教授と東邦大学循環器内科杉薫教授のお二人でした。僕は朝倉先生の座長を務めさせていただきました。
 何回か書いているとおり、ダビガトラン(商品名プラザキサ)は、心房細動の患者さんの脳塞栓症予防効果を有する抗凝固剤で、これまでのワーファリンに代わる新世代抗凝固剤として昨年登場した薬剤です。腎障害などの問題があり、これまで投与方法として確立している「110mgを1日2回(計220mg)」もしくは「75mg2カプセルを1日2回(計300mg)」しか保健適応がありませんが、われわれ医療者の間ではもう一段少量の投与「75mgを1日2回(計150mg)」を実現できないか(有効性の確認と厚生労働省の認可)がいつも論議されています。
 杉先生のご意見は「150mg/日投与によって脳梗塞のリスク回避がどれだけ可能かというデータが出ていない現時点ではなんとも言えない」というものでしたが、朝倉先生はそうしたエビデンスについては重要であるものの、血栓止血方面の専門としてのご意見を「私見」として表明しておられました。ワーファリン使用のモニタリングにはPT-INRが用いられますが、最近出たいくつかの研究会では「ダビガトランにはAPTT、さもなくばそれ自体の薬剤血中濃度(普通には測定できません)を」というのが定説でした。朝倉先生はモニタ要素を「副作用」と「効果判定」に分け、副作用についてはAPTTとPT-INRの併用、効果については可溶性フィブリン(soluble fibrin,SF)、プロトロンビンフラグメント(F1+2)、TAT、D-dimerのいずれかを用いれば年余の経過を見るよりもその患者さんの評価ができるはず、とお話になりました。そうであれば、150mg/日投与でも年何回かの血液検査で追いかければ副作用と効果判定が可能であり、徒手空拳でエビデンスデータのみで投与しているよりは安心して患者さんに対応できるのではないかと思われました。
 このダビガトランを始め、今週発売が始まったリバロキサバン(商品名イグザレルト)はともに血中半減期が短く(それが利点でもあり欠点でもあるのですが)モニタリングが困難となっているのですが、できれば薬剤を複数放出時間の除放マイクロカプセル化した製剤にしてしまえばいいわけで、そうした方向での開発も検討して欲しいところです。これは杉先生にも「そうなったらいいですね」とご同意いただけました。なお、朝倉先生は教室ブログ(!)を担当しておられ、エントリー数も多くいろいろ勉強になります。なお、先生はMacユーザーでした(いいね!)。

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2012.04.07

プラザキサ全国学術講演会

1204plazakisa ザ・プリンスパークタワー東京にて標記講演会が開催されました。ダビガトラン(商品名プラザキサ)は昨年春に発売され、途中腎障害などを中心とした患者さんの死亡事故などからブルーレターが出されたものの発売後1年が経過し、4月から2週間分の投与制限が解除されました。これまでワルファリン(商品名ワーファリン)しかなかった心房細動の患者さんの脳梗塞発生を抑制することができる抗凝固剤で、僕も2度ほど使用経験を講演したことがあります。
 今回はシンポジストの先生たちが1時間半ほど演壇上に出っぱなしと言う変わった構成でした。改めて確認されたことは、本薬剤の投与開始直前直後にはクレアチニンクリアランス(Crnn、年齢、性別、体重)・ヘモグロビン・aPTTなどのチェックが必要であること、でした。そして使用して良い患者さんを見極めること(65歳ぐらいまで、腎機能が良く、体格もありなるべく男性という基準)も重要であるという趣旨でした。75歳を過ぎていたら投与は考え物である、とのこと。しかし、我々市中で開業している医療機関にはこういった「よい」条件の心房細動患者さんはあまり現れないのも事実で、「贅沢を言っているわけにもいかない」のです。aPTTは血液凝固のひとつの物差しですが、施設基準の2倍を超えるまで延長したら(だいたい50秒を超えるぐらい)使用は差し控えた方が良い、との目安も明らかにされました。14日間の投与制限解除で最大90日分まで投薬が可能になりますが、できれば30日分にとどめ、定期的な血液検査をすることが勧められました。
 ワルファリンは投与量の調節をきめ細かにすることが大切(そのため来院の度にPT-INRの血液検査を行いできれば至急検査で結果を評価する)ですが、このコントロールがうまくいかない症例がおり、こうした患者さんにダビガトランを出したかったわけですが、こうした「PT-INRの安定しない患者さん」は服薬コンプライアンスが悪いだけのことがあり、ダビガトランを導入したからと行って状況が改善するわけではないというお話もありました。
 懇親会で心臓血管研究所:山下先生に意地の悪い質問をしてみました。「70歳でダビガトランを開始した人が何事もなく5年経ったらどうしたらいいんでしょうか?」すると、山下先生は「5年経った時点で考えましょう、その頃にはより小容量のダビガトランやもっと良い薬が出ているかも知れないから」。

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2012.03.28

5月連休における臨時休診のお知らせ

 都合により5月1日(火)を臨時休診いたします。祝祭日と重なるため、4月29日(日)〜5月6日(日)までの連休となります。どうぞご了承ください。
 5月の第二土曜の定休は第三土曜に移動し、土曜の休みが2週つながらないように配慮いたします。この点もどうぞご留意ください。
 なお、高血圧・糖尿病など長期服薬中の方はお薬ぎれにならないようご注意ください。

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2012.03.16

研究会2題

1202kosaka城東部認知症研究会(3月14日、主催:武田製薬)
メインスピーカーはレビー小体型認知症で有名な小阪憲司先生。僕は第一席の笠貫浩史先生(順天堂江東高齢者医療センターメンタルクリニック)の症例報告の座長をいたしました。新規抗認知症薬である同社のガランタミン(商品名レミニール)がレビー小体型認知症にも効果があるとは恥ずかしながら知りませんでした。なにせ、使い始めの3症例がことごとく振戦を生じ、「こいつはパーキンソニズムを起こしそうな症例には使えない薬だ」つまり、「きっとレビーには無理」と決めつけてしまい、その方面の文献も一切調べたり致しませんでした。不覚。むろん、リバスチグミン(商品名リバスタッチ、イクセロン)やメマンチン(商品名メマリー)もレビーに有効であることも確認されました。

第4回東部神経フォーラム(3月16日、主催:大塚製薬)
第一席は順天堂浦安病院順天堂浦安病院脳神経内科の卜部貴夫教授、第二席は国立精神・神経医療研究センター病院神経内科の村田美穂先生でした。診療終了が遅れ卜部先生の講演は終わり際しか聞けず、残念無念。村田先生はゾニサミド(てんかん用商品名エクセグラン、パーキンソン病用商品名トレリーフ)がパーキンソン病に有用であることを発見した功労者です。ご講演では、パーキンソン病(以下PD)の治療概念につき、L-DOPA製剤とアゴニストの重みが歴史上何度か入れ替わり、現在はほぼ同じ重み付けになっている、とのご指摘。そのおかげで現在PDの患者さんが10年以上の長きにわたり「薬が効いている間はそこそこ体が動く状態に保つ」ことが出来るようになっているそうです。また、L-DOPAの吸収効率が人によって、あるいは食前食後によってかなり異なることも指摘されました。また、PD患者さんに見られる反復常同行動(Punding)や常同行動コントロール不能(ICD:ギャンブル依存)などを発見するためには「毎日何をして過ごしておられますか?」とか「パチンコや買い物にはまることはありませんか?」などの問診が非常に重要であるとのことでした。また、PDの腰曲がりには「上腹部型」と「腰部型」があり、拘縮している腹筋にリドカイン(麻酔薬)を選択的に5日間連続で投与すると最長170日間まっすぐになっていたという症例もお見せいただきました。

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2012.03.10

インフルエンザに関わる登校(園)基準見直し

Photo インフルエンザ治療薬の進歩に伴い、感染した患者さんの熱発が早期に治まるようになり結果としてまだウイルスを有した状態で登校・登園して感染を広げることが問題となっています。このため、厚生労働省では感染症に関わる登校(園)基準見直しを行い、本年4月より施行することとなりました。
 現在、峠を越したとはいえまだ江戸川区ではインフルエンザが流行中であるため、この新基準を前倒しで適応することになりました。お子さんによっては体調も回復し自宅内で「体をもてあます」ことになり、また年少児をお持ちの親御さんにとっては「お子さんが居るため仕事を休み続けなければならない」状態が若干長引くことに繋がりますがどうぞご理解いただきたく存じます。

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2012.03.07

江戸川区合同防災訓練

1203bousai 本日午後1時から江戸川区医師会・柔道整復師会・江戸川区健康部合同の防災訓練がありました。今回のミッションは1)大地震が発生したという想定で対策本部長(医師会長)から医療班が招集される、2)招集に応じ各支部支部長が救護隊長として支部会員へ連絡網を使って招集をかける、3)集合場所にて非常時の連絡に使用するMCA無線機を使って集合状態を本部へ連絡する、こととなっています。
 当院へは13:08に電話連絡が入り、連絡網への電話を入れて自転車でわが第5支部の集合先である小岩健康サービスセンターへ向かいました。MCA無線の使用方法レクチャーを受けていると、本部からの確認無線が入り始めました。各支部ごとに「どうぞ」「了解」と受け答えを始め、こちらからも3名が交代に無線に出て連絡を済ませ、全支部と本部の連絡がすみ、13:50に無事訓練終了となりました。第5支部は6名、同じ場所に集まる第7支部は5名が、柔道整復師会からは2名が集合しました。写真は訓練終了後に第7支部長の白石先生、健康センターの担当者の方々と撮影しました。
 もちろん、非常事態は起こらないに越したことはありません。一部ではこうした無線連絡訓練を毎月行っているところもあるそうです。これだけにとどまらずいろいろな想定での訓練の機会はこれからも増えることでしょう。

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2012.03.04

子宮頚がんワクチンについて

 子宮頸がんワクチンの取扱いを始めました。原則として当院で接種開始する場合はガーダシルのみでお受けいたします。
 なお、他院にてサーバリックスで接種を始められ当院にて2回目移行の接種を希望される場合は予約申し込みの際かならず接種手帖をご持参ください。なお、接種日に接種手帖のご持参がない場合は接種できない場合がありますのでどうぞご注意ください。
 これらのワクチンはともに子宮頚がん予防のワクチンですが、相互に併用することが許されておりません。従って接種をご希望の場合は間違いが生じないよう十分ご注意ください。

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2012.02.29

江戸川区医師会綜合臨床研究会

1202yamazaki_2 標記研究会は小生が当番座長でした。年に1回神経疾患を題材にさせていただくことが出来ます。本年度は日本医科大学内科(神経・腎臓・リウマチ膠原病部門)准教授:山崎峰雄医局長をお招きして認知症につきご講演いただきました。講演は新規抗認知症薬「イクセロンパッチ」のノバルティスファーマ(株)です。
 初っぱなに「日本ほど抗コリンエステラーゼ剤のどれがよいかと真剣に議論される国はないのではないか」とバッサリ。これまで認知症治療に大きな成果を上げたドネペジル(アリセプト)があり、昨年登場したガランタミン(レミニール)とリバスチグミン(イクセロンパッチとリバスタッチ)が加わり、薬効の違うメマンチン(メマリー)は別として、「長期処方が出来るようになったらどれを使えばいいんだ」という疑問を持つドクターばかりという状況になっているのですが、それぞれの薬剤には微妙に違うこせいがあり、かつ患者さん一人一人への相性があることも事実。それを理解した上での一言と感じました。切替の時もいきなり大容量にすることなく(少しは漸増してゆく感覚は縮めても)中等量を試しながら行くべき、という方法論も納得できるものでした。
 2月6日の会ですでに東大岩田先生も話されたAβワクチンなどの先進薬剤の話も出ましたが、「認知症は症状が始まってからでは根本治療は難しく、外国ですでに始まっている「発症予備軍」を対象にした臨床試験の話題提供もご紹介され、本当に面白い(ためになる)講演でした。

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